ベンチャー支援の草分け、大手と協力に強み ゼロワンブースター・鈴木規文社長

 

 ベンチャー企業の事業支援を通じて成長を促す仕事が「アクセラレーター」だ。比較的新しいビジネスだが、起業が増える中、国内でも存在感を増しつつある。その草分け的存在といえるのが、ゼロワンブースター。鈴木規文社長に起業の経緯や支援のスタンスなどを聞いた。

 --ゼロワンブースターとはどんな会社か

 「もともとは起業家が集まってできた会社。週末には温めていたビジネスプランを持ち寄って、批評しあったりしていた。その結果、ほとんどのメンバーがその当時勤めていた会社を辞め、起業した。ただそのとき、共同でオフィスを借りた方が安上がりだと話がまとまり、それがゼロワンブースターのはじまりになった。いつの間にか、起業家がそれぞれ持ち寄ったビジネスを相互に支援するようになり、今のような事業支援というビジネスにつながった」

 --海外には多くのアクセラレーターが存在する

 「米カリフォルニア州に本社を置くYコンビネータが世界で一番のシードアクセラレーターとして知られる。ここのビジネスモデルを調べ、やれるならこういったアクセラレータープログラムができるといいなと考えた。設立から5年目となるが、大手企業を巻き込んだコーポレートアクセラレーター事業では強みがあり、この分野では日本では第一人者との自負がある」

 --シードアクセラレーターとは

 「スタートアップのベンチャー企業の発掘とその育成を通じて、ベンチャー企業を大きく育てていく。ベンチャーキャピタルは主に成長期(ミドル)から株式公開前(レイター)段階のベンチャー企業へ投資するが、アクセラレーターは創業前(シード)や創業初期(アーリー)段階の企業が対象。アーリー未満のベンチャーは資本は少ない。そこで資本を増やすとともに、成長のための育成に取り組む」

 --勝負できそうなビジネスモデルには投資が必要になるが、そのための対策は

 「起業家への投資は全て自社による直接投資が基本だ。円滑な投資を進めるためには自己資本の充実が不可欠。そこで2016年12月、私と共同代表を務める合田ジョージ取締役を引受先とする株主割当増資を実施し、資本金を1635万円に増やした」

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【プロフィル】鈴木規文

 すずき・のりふみ 米モンタナ州立大卒。1999年カルチュア・コンビニエンス・クラブ入社。2006年エムアウトに入り、民間学童保育事業「キッズベースキャンプ」を創業。11年にエムアウト取締役退任。12年ゼロワンブースターを創業、現職。46歳。埼玉県出身。

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【会社概要】ゼロワンブースター

 ▽本社=東京都港区東麻布1-7-3 第二渡辺ビル7階

 ▽設立=2012年3月

 ▽資本金=1635万円

 ▽事業内容=新規事業支援、起業家向けシェアオフィス運営など