投資3000億円に積み増し 帝人が3カ年の新中計
帝人は6日、2017年度にスタートする3カ年の新中期経営計画を発表した。素材とヘルスケアを2本柱に、新規事業の育成を加速。現行計画では16年度末までの2年強で1000億円としていた投資については、M&A(企業の合併・買収)を含め3年で3000億円に積み増す。引き続き投資効率と利益率を重視、自己資本利益率(ROE)は10%以上(16年度末の見通しで12.0%)を維持する。
新計画では既存事業を伸ばしながら、「今はまだ収益貢献していない新事業」を柱に育てることに全力を挙げる。自動車向け素材では軽量化ニーズの拡大を見据え、炭素繊維や樹脂、今年買収した米コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社のガラス繊維などを組み合わせて売り込む方針。ヘルスケアでは、医療機器や機能性食品素材、インプラントなどで商品の充実を図るほか、病気の予防や治療、介護のすべてに対応する事業基盤の構築を目指す。
このほか、生産性向上や「小さな本社」の実現により、19年度までに16年度比で200億円のコスト削減を図る考えだ。
3000億円の投資について同日会見した鈴木純社長は「設備投資とM&A投資は半々だと思っている」と話す一方、「必要によっては(金額が計画を)超えてもいい」と話した。
同日発表した16年4~12月期連結決算は、円高が逆風となり最終利益が前年同期比2.5%減の340億円、売上高が9.5%減の5351億円と減収減益だった。ただ、足下の円安で海外収益が増えることから、通期見通しは最終利益を従来に比べ20億円多い370億円(前期比19.0%増)、売上高を100億円多い7400億円(同6.4%減)に引き上げた。
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