キヤノン、東芝半導体への出資見送り 資産査定に時間足りず
キヤノンの田中稔三副社長は31日の決算発表の記者会見で、東芝が分社化する半導体事業への出資について「現状では難しい」と述べた。御手洗冨士夫会長は共同通信のインタビューで「前向きに検討する」と明言したが、他に投資する案件を多数抱えており、資産査定の時間も足りないことから見送る方向だ。
半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロンも出資が取り沙汰されたが、同日の決算会見で堀哲朗専務執行役員は「検討はしていない」と否定した。これで東芝の半導体事業への出資は、三重県の四日市工場に東芝と共同で投資している米ハードディスク大手ウエスタン・デジタルや外資系投資ファンドを軸に調整が続く見通しとなった。
東芝は、米原発建設で生じる巨額損失を穴埋めするため、半導体事業の主力製品「フラッシュメモリー」を分社化し、新会社の一部株式を決算期末の3月末までに売却する方針だ。
一方、キヤノンが31日発表した2016年12月期連結決算は、売上高が前期比10.5%減の3兆4014億円、最終利益は31.6%減の1506億円だった。
為替レートが想定を上回る円高だったことが響いた。昨年12月に買収した東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)の収益が貢献するため、17年12月期決算は増収増益を見込んだ。
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