東芝、原発工事撤退を検討「リスク大きい」 半導体分社化はきょう決定

 
東芝の本社ビル=東京都港区芝浦(撮影・大竹信生)

 米原発事業で最大7000億円の損失が見込まれる東芝は、27日に取締役会を開き、半導体事業の分社化を決める。分社化した新会社の株式の19.9%を売却し、2000億~3000億円の調達を目指す。また、問題の原発事業について、東芝は今後の発電所新設で建設工事事業から撤退することを検討していることが分かった。

 東芝は半導体の主力製品「フラッシュメモリー」事業を分社化する。米半導体大手マイクロン・テクノロジーが入札に意欲を示していることが新たに判明。キヤノンや米英のファンドも参加する見込み。売却を2割未満にするのは、独占禁止法に基づく手続きを簡略化したい狙いがあるようだ。

 単独の企業やファンドではなく、複数が共同出資する案も浮上している。東芝は決算期末に当たる3月末に、負債が資産を上回る債務超過を回避したい意向がある。

 一方、米原発事業は、工期の遅れによるコスト増が巨額損失を招く要因となったことから、原発の設計や原子炉などの製造・納入といった分野に専念することで、リスクを回避する道を探る方向だ。

 東芝の米原発子会社のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)は、遅れていた米国内の原発4基の工事を進めるため、建設工事を手掛ける米原発サービス会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を2015年末に買収した。しかし、作業員の雇用期間が延びることなどで費用が大幅に増加し、損失額が最大7000億円規模になる恐れが出てきている。

 東芝は2月14日の16年4~12月期決算の発表と同時に、米原発の損失額と再発防止策を公表する方針だ。翌15日、損失が出た経緯などを銀行団に説明し、融資継続を要請する。

 損失が今後も発生し続ける恐れのある原発事業をどう改革するかは大きな課題で、東芝内でも「リスクが大きく、将来像を考えないといけない」(幹部)との懸念が広がっている。

 分社化や、他社との一部事業の統合なども検討課題となりそうだ。