春闘 東芝に続きシャープ離脱 電機連合「統一闘争」足並み乱れ

 
記者会見を行う電機連合中央執行委員長の野中孝泰氏(右)=26日

 電機業界の2017年春闘は、経営再建中のシャープの労働組合が、電機メーカーの各労組でつくる電機連合の「統一闘争」から離脱すると26日表明した。巨額損失が発生する東芝も2年連続で離脱する見通しで、出だしから足並みが乱れている。前回春闘より業績が悪化している企業も多く、試練の賃上げ交渉になりそうだ。

 シャープの離脱は経営危機に陥って以降、5年連続。昨年8月に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、業績は回復しつつあるが、再建を優先し、賃上げ要求を見送る。

 不正会計問題で経営危機に陥り、昨年の春闘で統一闘争から初めて離脱した東芝も、米原発事業で巨額損失を計上する見通しとなったことから、電機連合の統一要求に歩調を合わせるのが困難な情勢だ。

 電機連合には現在、168の労組が加盟し、組合員数は約56万人。傘下の労組は横並びで賃金水準を底上げするベースアップ要求などについて経営側と統一交渉を進める。

 交渉を主導する立場の大手電機メーカー労組の一角の東芝の離脱などで、電機連合の存在意義が問われかねない事態に、野中孝泰中央執行委員長は「他産業への波及効果もあるので、苦しくても統一闘争を守り育てる」と厳しい表情だ。企業業績もばらつきが目立つほか、トランプ米大統領の保護主義的な政策などで経営に不確実性が高まっているだけに、労使交渉は難航が予想される。

 一方、三菱電機では若手社員に違法な残業をさせていたことが発覚。今春闘では長時間労働の是正や同一労働同一賃金などの働き方改革も賃上げに並ぶ主要な焦点になる。