有機ELテレビ市場に日本勢続々参入 東芝・パナ・ソニー、韓国LGを追走

 
東芝が発売する4K有機ELテレビ「レグザX910シリーズ」の65型(同社提供)

 韓国LGエレクトロニクスが独走する日本国内の有機ELテレビ市場に、日本の電機メーカーが年内の参入を続々と表明している。高精細な4K映像に対応するほか、くっきりとした明暗表現や臨場感のある音質などを独自技術で実現し、高級テレビを求める富裕層の買い替え需要を狙う。日韓メーカーの競争が激化するとともに、市場活性化につながりそうだ。

 東芝は11日、4K有機ELテレビ「レグザX910シリーズ」を3月上旬に国内で発売すると発表した。

 サイズは65型(税別想定価格は90万円前後)と55型(同70万円前後)の2種類。独自開発した画像処理エンジンや人工知能(AI)の深層学習(ディープラーニング)技術などを組み合わせ、画質の精度を高める。明暗を制御しながら自然で豊かな階調を表現し、人肌の質感を美しくリアルに再現できる。

 パナソニックは2015年から欧州で65型の4K有機ELテレビ「CZ950シリーズ」を展開。今年6月には「HDR(ハイダイナミックレンジ)」と呼ばれる高画質技術を採用し、従来の約2倍の明るさを実現した65型の「TX-65EZ1000」を欧州で発売する。日本国内でも年内に発売する計画だ。

 ソニーが日本や欧米などで年内に発売する4K・HDR対応テレビ「ブラビアA1Eシリーズ」はオーディオ製品で培ってきた技術を活用。パネルの裏に振動装置を搭載し、画面から直接音が出ることで高い臨場感を味わえる。ソニーは07年に世界で初めて小型有機ELテレビを発売。10年に生産を終了したが、液晶テレビを上回る高画質を実現する次世代の高級テレビとしてのインパクトは強かった。

 4K液晶の普及が進む中、大型有機ELの本格展開がテレビ市場の新たな“台風の目”になる可能性がある。