“暗い、汚い、怖い”… コインランドリー最大手がイメージ改革
コインランドリーは個人経営が圧倒的に多く運営ノウハウの蓄積も不十分なため、“暗い、汚い、怖い”というイメージで見られがちだ。同業他社の取り組みが遅れるなか、WASHハウスは独自のフランチャイズチェーン(FC)展開で店舗数を伸ばしている。児玉康孝社長は「顧客目線のサービスを充実させ、業界の基準をつくる」と意気込む。
--どのようなFCの仕組みなのか
「既存のFC事業には本部と加盟店が対立しやすいという問題点がある。店舗の売り上げが上がらないと本部は加盟店の責任にし、加盟店側は本部の仕組みが悪いと思うようになる。このため全く新しい方式を作り出した。一言で言えば、加盟店は何もしなくてもいい。つまり日常的な清掃、集金、両替機の補充、機器メンテナンス、来客対応などを全て当社が担う。加盟店には毎月の売り上げ明細の送付、送金の業務を行う。店舗内はカメラで24時間本部社員が管理するのでセキュリティーも万全だ。機器トラブルにも遠隔で対処する。管理カメラと音声システム、遠隔操作システムを組み合わせて無人店舗で利用客対応をする仕組みは、ビジネスモデル特許を取得した」
--コインランドリー経営の利点は
「機械を使用するため個人の熟練度を必要としない。日々現金が入り、原材料の在庫も洗剤ぐらいしか必要ない。このため1日数人の利用客でも利益が出る手堅いビジネスモデルだ。また生活環境の変化によりアレルギーに悩む人が増加し、家庭では簡単にできない布団の丸洗い、スニーカーの洗濯など、潜在的な顧客ニーズを掘り起こすこともできる」
--コンプライアンス(法令順守)を重視している
「当社はコインランドリー分野のFC最大手として、業界イメージを向上させようと取り組んでいる。実は違法な状態で運営している事業者も少なくない。乾燥機はガス器具で、排気ダクトはステンレス製を使うことが法律で義務づけられている。しかしコストを安くするため亜鉛めっき鋼板やアルミ製を用いていることが多い。ところが耐用年数が短く、排気が不十分になることで、一酸化炭素中毒などの事故の可能性を心配している。なぜ違法状態が放置されているかというと、コインランドリーには管轄官庁がないからだ。業界全体のコンプライアンス向上のため、当社とは別に全国コインランドリー管理業協会を設立して、業界全体に働きかけている」
--これからの成長戦略は
「出店エリアを九州中心から全国に広げる。現在、東京に2店舗、大阪に6店舗あるが、さらに首都圏、関西圏の出店を加速する。全国で昨年末時点の約390店舗を、今年中に500店舗以上に増やす方針だ。また米国、東南アジアを中心とした海外進出も視野に入れている。今後、出店数を前年比1.5倍のペースで拡大していく」
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【プロフィル】児玉康孝
こだま・やすたか 国士舘大法卒。1988年新日本証券(現・みずほ証券)入社。日本マクドナルド、大興不動産を経て、2001年ケーディーエム(現・WASHハウス)を設立し、現職。51歳。宮崎県出身。
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【会社概要】WASHハウス
▽本社=宮崎市新栄町86-1
▽設立=2001年11月
▽資本金=9億9381万円
▽従業員=98人(16年12月末時点)
▽売上高=30億6300万円(16年12月期見込み)
▽事業内容=コインランドリーの企画、開発、運営、システム提供
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