青森銀行 地方創生の取り組み(6)

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 ■「青函の架け橋」 経済活性化に期待

 新函館北斗駅への「弁当カフェ」出店構想。青森銀行は青函活性化ファンドによる支援に動き出したが、事業計画の策定には苦労があったという。

 投資を受ける以上は、ビジネスモデルの構築だけでなく、数字的な裏付けも必要。だが、今回のカフェ事業は過去に例のない事業。新駅の利用者数も未知数で、売り上げなどの見込みを出すのは非常に困難だった。吉田屋の吉田広城社長は「青森銀行や地域活性化支援機構(REVIC)の担当者とも連携することで、何とか事業計画を作り上げることができた」と話す。

 計画の策定作業では、「この規模の駅の、この広さの店舗では、これだけの数字が上がっている」といった具合に、既存の新幹線駅にある実際のテナントの数字を参考とした。それを踏まえて、弁当カフェの広さや席数、提供商品の価格などから見込み数字を推測。2016年3月8日、新店舗の設備など工事費用として、2000万円の投資が実行された。青函活性化ファンドでは函館の五島軒に次ぐ第2号案件だ。

 16年3月19日、北海道新幹線の開業に先立ち北斗市観光交流センターがオープン。北緯41度から名付けられた吉田屋の新店舗、「BENTO CAFE 41°GARDEN」(ベントーカフェ・ヨンイチガーデン)も幕を開けた。

 ショーケースに並ぶ色鮮やかなカフェ弁のラインアップや、青函の食材をふんだんに使用した新作駅弁、地元のジャガイモやカボチャを使用した濃厚なスープなどが、訪れる旅行者を楽しませている。

 新函館北斗駅での新事業について「青函の架け橋になる」と話す吉田社長。青森銀行は今後も仕入れ・販売先とのマッチングなどを通じ、引き続き吉田屋の新事業を支援していく。創業124年の老舗企業による新事業が、食材生産者や加工業者を中心とする青函地域経済の活性化にどれだけ貢献していくのか、今後の展開から目が離せない。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp