パナ、世界初の自動運転車いすを来年発売 スマホで行き先指定

 
パナソニックとウィルが開発している自動運転の電動車いす

 パナソニックは、スマートフォンに行き先を読み取らせるだけで、一定のエリア内を操作不要で移動できる自動運転機能を持つ電動車いすのシステムを、2018年4月にも発売する方針を固めた。同社によると、車いすの自動運転化は世界初とみられる。空港や駅、商業施設などに導入すれば、歩行が困難な高齢者や障害者をはじめ、訪日外国人らも安全・確実に移動できる仕組みを構築できる。同社は20年東京五輪を見据え、全国に普及させたい考えだ。

 パナソニックは電動車いすメーカー「ウィル」(横浜市鶴見区)と協業し、15年ごろから開発を進めてきた。専用アプリをスマホに導入し、エリア内の看板や地図にかざせば、目的地などの情報を自動で読み取る。さらに、スマホから近距離無線通信「ブルートゥース」を介して、車いすに装備された自動運転の「司令塔」となる専用端末に経路などの情報が届き、目的地まで自動走行する仕組みだ。スマホの位置情報機能も活用する。

 また車いすには、混雑する場所でも障害物や人を感知してぶつからずに進めるよう、高性能センサーによる「衝突回避システム」を搭載する。

 空港では、飛行機から降りた来訪者がすぐに利用できるよう到着出口などへの配備を想定。自動回収機能も搭載され、利用者が車いすを降りたら、元の場所まで自動的に戻る。

 パナソニックとウィルは昨年7月から羽田空港などで実証実験を行い、自動停止機能の安全性を検証した。17年度には、空港などで自動回収や自動運転の実験も行う。安全性を向上するために、障害物の動きを予測する人工知能(AI)の採用や、車いすの位置を無線通信によって遠隔で確認できる見守りサービスの導入も検討する。

 政府は、東京五輪・パラリンピック大会を契機に、全国の駅や空港などの交通機関のバリアフリー化を推進する。国際パラリンピック委員会(IPC)の最高位スポンサーであるパナソニックは、独自技術でバリアフリー先進国として日本をアピールする考えだ。