アサヒビール 脱ビール依存、通年売り上げ伸ばす

トップは語る

 □アサヒビール社長・平野伸一さん(60)

 --ビール類の国内市場は縮小が続いている

 「国内は毎年1%ずつ減少するとみている。なかでも今年は、1~11月の大手4社で2%程度マイナスだったもようで、大変厳しい。7、8月の天候不順が響き、通年でもマイナスは避けられない」

 --ビール類の市場縮小にどう対応するのか

 「暑い7、8月や(忘年会などがある)12月に売り上げが集中する従来のビール会社のビジネスモデルは通用しない。ビールに依存せず、1年を通して売り上げを伸ばすことが重要だ。そのためにはビールでシェアトップを維持した上で、ワインや洋酒、ノンアルコールビール、(缶チューハイなどの)RTD、焼酎など各分野でナンバーワンを目指す」

 --「第3のビール」が好調だ

 「今年1~11月の販売数量は10%増だった。とくに(こくや香りにこだわった)『クリアアサヒプライムリッチ』が41%増加した。16年の第3のビールのシェアは(サントリーを抜いて)2位に浮上する見通しで、来年は1位を目指したい」

 --3月に発売した7年ぶりのビールの新ブランド「ザ・ドリーム」は苦戦している

 「今年は400万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を計画していたが、150万ケース程度にとどまりそうだ。糖質50%オフという機能は変えずに、来年は品質を向上させる」

 --税制改正でビール類の酒税一本化が決まった

 「議論ばかりだったが、10年かかっても一本化されることが決まったことは評価できる」

 --減税されるビールの比率がアサヒは高い

 「発泡酒や第3のビールのブランドがなくなることはない。どの分野もトップを取りたいと思っており、(どこの会社が有利不利かは)関係ない」

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【プロフィル】平野伸一

 ひらの・しんいち 早大卒。1979年アサヒビール入社。常務、専務、副社長などを経て2016年3月から現職。兵庫県出身。