オーディブル 書籍聴き放題、ユーザー開拓に自信

インタビュー

 □オーディブル副社長 ベス・アンダーソンさん(58)

 --本を耳で楽しむオーディオブックサービス「オーディブル」の日本での配信開始から1年以上が過ぎた

 「非常に良い手応えだ。30~40代を中心にビジネスや自己啓発本から入ってやがて小説や落語など趣味の利用へ広がっている。日本の大手出版社も書籍の音声化に積極的で、すでに1万冊以上を配信しているが、新たな書籍を加えていくことが決まっている」

 --オーディオブックは日本ではなじみが薄い

 「20年前の米国もそうだったが、利用者の口コミで利用が広がった。仕事や子育てで忙しく本を読む時間がない人も、通勤時間や家事の間に“ながら”聴きができる。最初の設定さえ家族や周囲に手伝ってもらえば、視力の低下で読書に困難を感じる高齢者も、ごく簡単に利用できる。子供が本に興味をもつきっかけにもなる」

 --聴き放題の定額配信サービスは世界で初めて日本で展開した

 「オーディオブックが普及していないからこそ、何冊も試し聴きできるスタイルが市場に合っていると考えた。月間1500円で何冊でも聴き放題は非常にお得。ユーザー開拓に自信をもっている」

 --8年前にアマゾン・ドット・コム傘下となった

 「検索機能やダウンロードサービスなど技術を共有したことで相乗効果があった。米国、独、仏など世界7カ国に配信拠点を置き、利用者は世界で年40%増のペースで拡大している。2016年のオーディブル利用時間は20億時間で、14年の2倍。非常に成功した“結婚”だった」

 --今後、目指すところは

 「老若男女すべての年代に向けた、誰もが知っているマスメディアになりたい。『最近、どんな本を聴いているの?』と話題にするような。時間と努力が必要だが自信をもっている」

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【プロフィル】ベス・アンダーソン

 米コーネル大卒、文学士号取得。教育系出版社を経て1996年、創業したばかりのオーディブルに入社。2007年から現職。ニューヨーク州出身。