カジノ解禁法案、経済効果は年2.1兆円 参考は観光大国・フランス
IRは、外国人旅行客の増加や地方活性化の有力な手段として期待されており、誘致に前向きな自治体や企業が現れている。
日本を訪れる外国人旅行客は今年初めて2千万人の大台を突破した。それでも、平成27年の客数(1974万人)は国・地域別で16位になり、アジアでは中国、タイ、香港、マレーシアの後塵(こうじん)を拝している。旅行客からの観光収入額をみても、全世界1兆2千億ドル(約136兆円)のうち、日本は2%にとどまる。
世界一の観光大国で年間8千万人以上の旅行客を集めるフランスは、カジノの営業を1907年に温泉観光地に限り許可。88年に「人口50万人以上の観光都市」へと範囲を広げ、同国の現在のカジノ施設数は欧州最多の約200になる。米ラスベガスや中国マカオなどに比べ、各施設の規模は小さく、日本にIRを導入する場合の参考になりそうだ。
大和総研が平成26年に公表した試算によると、横浜、大阪、沖縄の3カ所にIRを誘致した場合の経済効果は年間2兆1千億円。宿泊施設や他のリゾート、小売り・飲食業などへ波及し、雇用や税収の増加につながることが期待される。
横浜市はカジノを誘致して臨海部開発に弾みをつけたいとし、大阪府は37年の国際博覧会(万博)とセットで大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市)への誘致を目指す。
長崎県は旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)とともに、同社傘下の大型リゾート施設ハウステンボス(同県佐世保市)への誘致を狙っている。
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