配偶者控除見直し 人手不足の小売業、労働力拡大を評価

 

 政府・与党が配偶者控除を見直し、妻の年収要件を現在の103万円以下から150万円以下に引き上げることを受け、パートやアルバイトを多く抱えるスーパーなどの小売り現場からは「人手不足の中、労働力が広がるのはプラスだ」(スーパーのいなげや)などと歓迎する声が多い。これまでは103万円以下に年収を抑えるため、あえて働く時間を減らしていた従業員も多くいたからだ。

 とくに年末調整のため11月から12月にかけて勤務時間を減らす人は多い。このため、年末の繁忙期に人手不足に見舞われるケースもあったが、年収要件の拡大で解消が期待される。

 新日本スーパーマーケット協会などの調査によると、スーパーに勤務する人の70%超がパートとアルバイトの従業員。そのなかでも“103万円の壁”を意識し、「計算して働く時間を調整している人は多い」(スーパーのサミット)という。

 大手スーパーでは「週に何十時間」などと契約をした上でパートの年間のシフトを組むため、年末に慌てて勤務時間を調整することは少ない。それでも「残業したり昇給したりすれば、勤務時間の調整が必要になる」(ライフコーポレーション)ため、働く時間をわざわざ削る場合もあった。

 一方、働き方の柔軟性は増しそうだが、「そもそも育児や介護で休まざるを得ない人も多く、年収要件が拡大されても勤務時間を増やせない人は少なからずいる」(大手スーパーの関係者)との指摘もある。(大柳聡庸)