住宅ローン金利じわり上昇 みずほ10年固定で0.1%アップ トランプ次期大統領で指標上向き
みずほ銀行は30日、12月に適用する住宅ローン金利で、主力とされる10年固定型の最優遇金利を11月より0.1%引き上げ、年0.8%とすると発表した。みずほ銀の最優遇金利の引き上げは3カ月ぶり。メガバンク3行は、12月の固定型の店頭金利の一部引き上げをそれぞれ発表し、固定型住宅ローンで金利上昇の動きがじわりと出始めている。
10年固定型の最優遇金利は、三菱東京UFJ銀が0.6%に、三井住友銀は0.8%にそれぞれ据え置くことを決めた。一方、店頭金利は三菱東京UFJが2年、3年、15年、20年の固定型を0.05%、三井住友銀とみずほ銀が2~5年の固定型を0.05%、それぞれ引き上げる。
各行が金利の引き上げに動き出したのは、住宅ローン金利を決める際の指標となる長期金利が、米大統領選でトランプ氏が当選して以降、上昇しているためだ。
大統領選直前に1.8%台だった米国の長期金利は、トランプ次期大統領の経済政策に対する期待や、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月にも利上げに踏み切るとの思惑から2.3%台に上昇した。
その余波で、10月末は0%を下回っていた日本の長期金利の指標である新発10年債の利回りも11月15日以降、プラス圏に浮上した。30日の国債市場で新発10年債の終値利回りは、前日より0.005%高い0.015%だった。
今後、3メガ銀は日米の金融情勢を踏まえ、ローン金利を小刻みに変更するとみられる。ただ、急激に上昇するとの見方は少ない。低金利を武器に、新規融資や借り換え需要の取り込みを図る住宅ローンの金利競争は根強いためだ。
また、日銀は指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を11月17日に実施するなど、今後も長期金利の水準を0%程度とする考え。このため、市場では「今後の金利上昇余地は限られる」(SMBC日興証券の竹山聡一氏)との見方が根強い。(飯田耕司)
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