進化する「カプセルホテル」 広々とした空間、女性専用フロアも
駅に近く便利で安価な宿泊施設として利用される「カプセルホテル」が進化している。大柄な外国人向けに広い空間を確保、女性専用のフロアを設けるなど工夫を凝らす。新サービスを武器に、女性客や若年層、リピーターの取り込みを狙う。
日本初のカプセルホテルを1979年、大阪・梅田地区に開業したとされるニュージャパン観光(大阪市)は一昨年、観光名所の道頓堀で男性専用の施設「カバーナ」を開いた。訪日外国人をターゲットにしたサービスに力を入れている。
大柄な外国人に対応
訪日客が急増し宿泊施設の不足が都市部を中心に慢性化する中、サウナや浴場があったビルにカプセルを設置。大柄な外国人客でもゆったりと使えるよう、従来よりも奥行きや幅などを約10センチ広くし、英語やタイ語、韓国語を話せるスタッフを採用した。1階のレストランでは、英語表記のメニューをそろえ、職人がにぎるすしも味わえる。同社は「日本の常連客に部屋を確保するため、7割程度に制限しているほど訪日外国人の利用が増え、リピーターも多い」と話す。
宿泊するとサウナや大浴場のほか、ジム施設も使える。曜日によって異なるが料金は1泊、4100~4600円。
山王観光(東京)が展開する東京・新宿の「レディース510」は、ビルの地下1階と地上1階が女性専用。上階は男性用施設だが、受付や設備は完全に分かれているため安心して利用できる。2008年に開業し、現在は22室まで拡大。稼働率は80%以上で、週末はほぼ満室だ。新宿駅から徒歩10分以内という立地の良さから旅行やコンサートなどの催しで地方から来る顧客が多いという。
赤迫哲也社長は「かつては繁華街で飲み、終電を逃したサラリーマンの利用が多かったが、事業を継続するには若年層を新たな顧客とする必要がある」と説明する。料金は曜日などによって異なるが3600~4800円。
ファーストクラス
機能性やデザインに特化したのは「ファーストキャビン」(東京)。広さや料金がビジネスホテルとカプセルホテルの中間の「コンパクトホテル」として現在、東京や京都、大阪、福岡に計8店舗、展開している。
飛行機のファーストクラスをイメージした四角形の機能的な部屋で、高さが2.1メートルあるため広々とした空間を感じられる。部屋は4.4平方メートルと2.5平方メートルの2種類、料金は4600~6800円で場所などにより異なる。
ファーストキャビンの来海忠男社長は「結婚式や宴会場といった余分なものを除いてコストを下げ、サービスの質を上げている」と説明。客室もトイレや浴室を省き、居住空間を広く確保した。
リピーター率は約6割で「秘密基地を思わせる室内で心地よい」「かっこいいデザイン」と言った声が寄せられている。
一般のホテルに比べて建設の費用が安く期間も短い。ファーストキャビンは、自社運営のほかフランチャイズでも展開、東京五輪が開催される20年までに国内外で計50店舗を目指す。
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