遊技産業の視点 Weekly View

 □ぱちんこジャーナリスト、LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田

 ■「楽じゃない」パチンコを続ける理由

 ぱちんこは楽じゃない。新台を遊技したければ開店前から並ぶ必要もあるし、勝率を上げたければ、出そうな遊技台を探す作業から始めなければならない。また、見つけてもただ打てばよいというものではなく、遊技のリズムに合わせて保留3個目で打ち出しを止めたりアタッカーの開放に合わせて打ち出しを止めたりして期待値を上げる必要がある。それでも確率の遊技だから負けることもある。

 パチプロと呼ばれる人たちが実際にいるが、彼らは「止め」のタイミングを最も効率良くコントロールしながらハンドルの打ち出しトルクまでコントロールする。いわゆる「ひねり打ち」というものだが、これによって本来は10個しか入賞しない大入賞口にそれ以上の玉を入賞させることができる。

 それでも確率の遊技だ。パチプロには「フヅキ」という言葉がある。これは「期待値で勝っているのに確率で負けた」状態を指す。要するに「ついてない」ことを意味するのだが、これはパチプロにはどうすることもできない。だからこそ、少しでも期待値を上げるための努力を彼らは惜しまないのだ。少々のフヅキなら勝ってしまう、くらいに努力している。

 そんなパチプロと私は多少付き合いがある。彼らを見ていると「こんなに努力しているのだったら、いっぱい勉強して一流企業にでも勤めたら成功するのでは?」と思ってしまう。それほどに大変だ。目当ての遊技台を見つけるまで歩きつづけたり、バイクや車で移動し続ける。夜は夜で翌日の店を見つけるために出歩く。とてもじゃないが、楽な生活ではない。むしろ極めてストイックな生活をしている。

 私はそんな遊技スタイルではない。おそらく多くの客と同じく、テキトーに店に入りテキトーに打っている。確率の遊技だから勝ち負けはそれでもある。そしてそれが楽しいと感じる。

 参加人口の減少が目立っているとはいえ、それでも1000万人規模の客がいる。楽じゃないのだから、もはやこれは「好き」以外にないのではないか。要するに「ぱちんこ好き」は案外多いのだ。

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【プロフィル】POKKA吉田

 ぽっか・よしだ 本名・岡崎徹。1971年生まれ。神戸大学経済学部中退。著書に『パチンコが本当になくなる日』(扶桑社新書)など。2016年2月より本名の岡崎徹としてぱちんこ業界紙「シークエンス」発行人編集長。