「IoT工場」国内各社が本格化 パナ、NECは海外企業と協力

 
パナソニックがシーメンスと開発したIoTで工場を管理するシステム=10月、東京都大田区
パナソニックがシーメンスと開発したIoTで工場を管理するシステム=10月、東京都大田区

 あらゆる機器をインターネットでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」を工場に取り入れ、生産性を飛躍的に高めようという製造業各社の取り組みが本格化してきた。パナソニックやNECは欧米の先行企業と協力し、世界的に進む「スマート工場」化の流れに歩調を合わせる。

 生産現場にIoTを導入するのは、自動車やスマートフォンなどの市場が世界に広がり、消費者の好みや求める価格帯に合わせて多くの種類をいち早く生産する必要に迫られているからだ。従来型の工場では、変化の早い市場の要求に対応するのは難しい。パナソニックは電子部品を基板に装着する生産設備からリアルタイムで情報を収集し、効率的に管理できるシステムを開発した。ドイツでIoTを活用した生産革命「インダストリー4.0」に取り組む電機大手シーメンスと協力した。

 メーカーが異なるため、別々に運用していた複数の製造装置を1台のパソコンで一括制御できるのが売り。プログラムの切り替え時間も大幅に短縮し、生産性は約3割高まるという。中小企業を含む部品メーカーに販売する。

 NECは米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)とIoT分野で包括的な提携を結んだ。産業機器のデータをインターネット上で管理するGEのサービスに、NECの人工知能(AI)技術などを生かしてもらう。日本企業向けのビジネス拡大も目指す。

 日立製作所は、機器の稼働状況をチェックし、作業の遅れが発生した原因を素早く洗い出して対策を立てるシステムを実用化した。生産にかかる時間を約50%削減できる。2017年度から製造業向けに提供を始める。

 電子部品大手の日本電産も自社工場へのIoT導入を積極的に進めており、永守重信会長兼社長は「工場の風景が変わってきた。当初はこれほど早く効果が出るとは思わなかった」と満足げだ。