ハウス食品、台湾で「日本のカレー」強化 子育て世代に売り込み、普及に自信

 
台湾のセブン-イレブンが販売する、ハウス食品のルーを使ったカレー弁当の包装=17日、台北市内の台湾ハウス食品

 食品大手、ハウス食品が台湾でのカレーの販売を強化している。2017年の売り上げ目標を15年の約2倍の25億円とし、家庭用・業務用の双方で市場拡大を目指す。現地の味覚に合わせた商品を生産する中国とは異なり、「日本の味」を広めるのが特徴だ。

 同社は1980年代から商社を通じてカレールーの台湾輸出を開始。2005年にはチェーン店「CoCo壱番屋」とも連携、売り上げは01~15年で3.5倍の約14億円に順調に伸ばしてきた。家庭用商品での市場シェアは約7割という。一層の市場拡大に向け、法人に格上げした「台湾ハウス食品」が今年1月から事業を開始。今月中旬からは約20年ぶりにテレビCMを始め、子育て世代への売り込みを目指している。

 共働きが多い台湾では、日本よりも外食が中心だが、近年の日本食への関心や「食の安全」意識の高まりを背景に「日本と同じ水準までは普及できる」(台湾ハウス)とみている。

 中華料理の香辛料、八角を配合し中国人好みの黄色に仕上げる中国での現地生産品と異なり、包装以外は日本と同じ。そこで力を入れるのが量販店での試食だ。辛さや塩分が苦手な台湾では、「日式カレー」を名乗る外食店でも薄味が多いだけに、「レシピ通りの味を食べてほしい」と試食宣伝を繰り返している。

 また、セブン-イレブンと連携して09年から販売するカレー弁当でも毎年、味を確認し、「日本式カレーライス」の普及を図っている。(台北 田中靖人)