ハワイ人気再燃 旅行関連各社、顧客獲得へホテル新装や航空便拡充
定番の海外旅行先として人気を誇るハワイ旅行の人気が再燃し、観光客の獲得に向けた業界各社の動きが相次いでいる。航空便の拡充に加え、ホテルや旅行会社もサービスを提案。テロの懸念が強い欧州旅行などに比べて、ハワイは治安が良く滞在も快適とあって、年末年始だけでなく、今後の需要増加を見込んだ取り組みが加速している。
「今まで以上にホテルを利用してもらえる環境が整った」。西武ホールディングス(HD)の後藤高志社長は、ハワイ・オアフ島のホテル新装計画の発表会見で“勝算”を口にした。
新装する「プリンスワイキキ」は来年3月までに客室やロビー、店舗まで全面改装する。ロビーにはハワイで著名な芸術家の作品を展示するなど高所得者をターゲットにした高級クラスに整備する計画で、現在4割前後で推移する利用者の日本人比率を5割まで引き上げたい考えだ。
総額5500万ドル(約57億円)にも及ぶ積極投資の背景にはハワイ需要の高まりがある。海外旅行などの出国日本人数は訪日客数を下回るペースだが、年末年始のハワイ旅行の予約数は「昨年を上回るペース」(エイチ・アイ・エス)で推移だ。温暖な気候で治安も安定、今後は空港と街中を結ぶ鉄道の整備で利便性向上も見込まれる。
ビジネスのグローバル化で海外出張の増えた会社員がマイレージをハワイ便の航空券と交換する動きも重なり、日本航空と全日本空輸の8月のハワイ便利用率はともに約9割と絶好調。航空各社は顧客囲い込みの好機として路線充実などを図る。
米ハワイアン航空は7月の成田-ホノルル便の初就航に加え、12月に羽田とハワイ島コナを結ぶ新規路線を開設する。
日航は資生堂パーラーと提携して9月からハワイ便の機内食を一新した。全日空も7月にホノルル中心部の商業施設内に顧客専用ラウンジを開設したほか、2019年には2階建ての超大型機「A380」のハワイ便投入を計画する。
景気が足踏みを続ける中で、資金捻出を後押しするのが旅行最大手のJTB。3日から先着6000人限定で「JTB旅行積立たびたびバンク」で、満期時に上乗せされる金額の利率を通常の1.75%(年利換算)から3%にアップ。JTB商品を購入すれば50ドル相当のクーポンもつき、毎月約2万円ずつで50万円を積み立てると約2万円分がプラスになる計算だ。
6カ月コースから始められ、早ければ来夏の旅行にも積立金が満期で受け取れる。JTBの担当者は「『いつかはハワイ』と先延ばしにせず、お得なタイミングで計画してほしい」とPRしている。(佐久間修志)
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