エイリック、日本の不動産投資サイト開設 ASEANの難点補いリスク分散

 
東京・豊洲のマンション群。不動産投資情報サイト、ARICの日本版は人気エリアをはじめ今後3年間で1万件以上の扱いを目指す

 日本最大級のアジア不動産情報ポータルサイト「ARIC」を運営するエイリック(東京都中央区)は、日本の不動産投資サイトを開設した。ARICは2014年4月から稼働しており、日本の情報も提供することによってリスク分散を行いやすい環境を強化する。日本版はアパートとマンションをはじめとする収益物件を初年度1000件掲載し、今後3年間で1万件以上の取り扱いを目指す。

 日本は震災リスクに加え、少子高齢化をめぐる社会問題が深刻化している。このため、国内の富裕層の間では日本以外の地域にある不動産に投資しようという需要がある。これを受けて開設されたのがARICだ。

 ARICではインドネシアやタイ、フィリピンなどASEAN(東南アジア諸国連合)9カ国の物件を紹介している。提携先の現地不動産会社から入手した情報を提供しており、現在の取扱件数はコンドミニアムを中心に130件程度。将来的には1000件まで拡大する計画を進めている。

 今回、日本版を立ち上げた理由は「会員の選択の幅を広げるため」(田中圭介社長)だ。ASEANはまだマーケットが小さく、キャッシュによる決済が原則で、購入できない人が多いことが背景にある。

 日本には「楽待(らくまち)」や「健美家(けんびや)」といった大手不動産投資サイトが存在する。ただ、不動産投資市場全体に占める割合はまだ小さいため、ARIC日本版を通じて物件情報の提供に力を入れていく。

 エイリックはARICを中立的な立場で運営し、アジア各国の物件情報や投資判断をサポートしている。その過程では、投資の障害となっている情報の不透明性を解消し、情報不足を原因としたリスクを最小化できるような環境づくりに力を入れている。

 また、昨年7月からはアジアでの不動産投資の安全性や安心感を一段と向上させるため、「売却&賃貸プラットホーム」を開設。日本語対応が可能な現地不動産会社を紹介している。

 同社によるとアジアの不動産に投資している日本人は約2万人とみられる。エイリックは現在約1000人にメールマガジンを送付しており、日本版に順次誘導していく計画だ。日本とアジアをまたいだ不動産に関する中立的な情報を提供することで、日本人投資家の最適なポートフォリオ形成に寄与していく。