大手行、ベンチャー育成支援に本腰 将来性見極め取引拡大狙う

 
三井住友銀行が開催したベンチャー企業と大企業を引き合わせるイベント=2月、東京都千代田区

 大手行がベンチャー企業の育成に本腰を入れている。大企業との取引を積極的に橋渡しするほか、経営者の卵を有期雇用して起業のいろはを学ばせる機会も用意する。ベンチャーが成長すれば取引拡大が期待できるだけに「化ける」企業を見つけ出す目利き力を競っている。

 三井住友銀行は昨年から、ベンチャーと大企業を引き合わせるイベントを開いている。9月5日にも東京都内で開催し、カメラなどの心臓部となるイメージセンサーを開発するブルックマンテクノロジ(浜松市)など10社が、三井化学を相手に技術を売り込む。

 大企業にとっても海外勢との競争が激化する中、自社にない技術を取り込める利点は大きい。法人戦略部の松永圭司グループ長は「東京に集まるベンチャーが地方で活躍するのを後押ししたい」と述べ、地方の大企業への紹介にも力を入れる考えを示した。

 みずほ銀行は、ベンチャーを支援する部署「イノベーション企業支援部」を4月に立ち上げた。ベンチャーは成長性を判断するのが難しいため、さまざまな機器がネットでつながる「IoT(モノのインターネット)」や医療など分野別に担当者を配置。専門的な観点から有望企業を見極められるようにした。

 三菱東京UFJ銀行は、ロボットや素材開発の分野で優れた構想を持つ起業希望者の男性を2人選抜し、3月からグループ会社で雇用した。期間は2年間で、米シリコンバレーに派遣したり、銀行のベンチャー支援の手法を学ばせたりする考えだ。担当者は「海外での事業展開を考えている起業家を支援したい」と話している。