アフリカ市場開拓、外国企業連携でリスク軽減 脆弱な経済、テロ多発
今回初めてアフリカ開発会議(TICAD)が開かれるアフリカは、世界的な資源ブームを追い風に経済成長を続けてきた。日本企業はアフリカで豊富な事業経験を持つ外国企業と手を組んで、有望市場への参入を果たす構えだ。
豊田通商は買収した仏商社を通じて昨年12月、コートジボワールのアビジャンに仏流通大手のカルフールと共同で大型ショッピングモールを開業した。売り上げは想定以上で、今後同国内に4店舗出店するほか、2020年にはガーナやカメルーンなど8カ国に店舗を広げる計画だ。
豊田通商の服部孝専務(アフリカ統括)は「仏企業の強みは長年培った販売網と最大の経営課題といわれる社員と家族の治安対策」と話す。
一方、服部専務は日本企業の強みとして「人材育成」を挙げる。現地では要望の多い農業分野での技術研修に、国際協力機構(JICA)の協力を得て取り組む。さらにトヨタグループの強みを生かして自動車技術者向けの研修を実施、9月からは生産効率向上ノウハウ「カイゼン」の講座も開設する。
三井物産は昨年、ウガンダでオランダ企業と高速モバイル通信事業を開始した。モザンビークではブラジルの資源大手ヴァーレと組んで石炭開発と鉄道輸送事業に参画した。
三菱商事はトルコの財閥と企業連合を形成してプラント建設の検討に乗り出している。
こうした日本企業の動きを支援しようと、日本貿易振興機構(ジェトロ)は、仏の貿易・投資促進機関やトルコの経団連に相当する経済団体とアフリカ市場開拓協力で合意した。ジェトロの石毛博行理事長は「現地や第三国とのパートナーと組みリスク軽減することが重要」と話す。
アフリカは中間層による旺盛な消費意欲や、多数計画されているインフラ整備事業といったビジネスチャンスの一方で、脆弱(ぜいじゃく)な経済基盤、多発するテロといった課題もある。慎重にリスクを見極めながらも、攻勢をかける中国企業に後れをとらないよう難しい経営判断が求められる。(上原すみ子)
関連記事