サウンドファン、難聴者用スピーカー多用途化 自動車、介護ロボに照準
サウンドファン(東京都台東区)は、耳の遠い難聴者にも聞き取りやすいスピーカー「ミライスピーカー」の多用途化を目指す。現在は主に、金融機関に設置されている発券端末用の呼び出しスピーカーとして採用されている。今後は商品の小型化なども追求することによって、自動車から介護ロボットに至る幅広い領域で利用できるようにし、“音のバリアフリー化”を推進。知名度を向上させ、売り上げ増につなげていく。
開発の契機となったのは、難聴の人から「蓄音機の音は聞き取りやすい」との声を耳にしたこと。このため蓄音機の仕組みを活用し、曲面から音を発生させる特殊な手法を取り入れたスピーカーが誕生した。
小さな音でもしっかりと聞こえ、離れた場所でも音が伝わりやすいのが売り物。加齢による老人性難聴や大きな音を聞き続けたことによる騒音性難聴など、後天性の難聴者の約8割に対して効果があるという。
佐藤和則社長によると「市場は急速に拡大している」。その原動力となっているのが発券端末用の呼び出しスピーカー。障害者への配慮を義務づける障害者差別解消法が今年4月に施行されたことで、民間企業も努力義務があり、難聴者にとって不安のない音環境の整備が金融機関の間で進められているからだ。
こうした流れを踏まえ、金融機関以外にも郵便局や駅、公共施設などへの普及を目指す。また、証券会社による顧客向けセミナー用などに使用される需要も顕在化しており、営業活動を推進する。
今後の課題として掲げているのが「意匠を小さくすること」(佐藤社長)。これによってATM(現金自動預払機)や介護ロボットなどに埋め込むことができ、難聴者の利便性が向上する。一方、自動車部品メーカーとは自動車搭載用スピーカーの研究に着手。実用化すればクラクションなどの音を車内に取り入れやすくなるほか、自動運転時のコミュニケーションツールとしても機能させることもできる。
さらに低価格化を実現することにより、家庭内で気軽に利用できる環境を提供する考えだ。
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