LCC、新幹線活用し誘客 函館市、台湾人観光客に東北周遊など提案
昨年度、外国人宿泊者数が過去最高の約40万人を記録した北海道函館市で、約6割を占める「お得意さま」の台湾人客数が減少した。地元は8月12日に就航した函館-台北の格安航空会社(LCC)定期便や、3月に開業した北海道新幹線を組み合わせた函館・東北周遊ルートの売り込みで誘客を図る。
航空2社が2012年、函館-台北の定期便を就航し、台湾から多くの個人旅行客を呼び込んだが、搭乗率は低下傾向にある。函館市によると、昨年度の台湾人宿泊者数は約23万人。前年度を3000人下回り、「頭打ち」との見方が広がった。
函館市国際観光課の杉村はるみ課長は「台湾では北海道が人気で、既に多くの人が函館を訪れている。今後は東北などを含めた広域周遊ルートをPRし、新しい楽しみ方の提案が必要」と話す。
台湾人客を呼び込もうと、国土交通省東北運輸局と北海道運輸局函館運輸支局は7月下旬、北海道新幹線を利用したPRツアーを実施した。日本観光の情報をブログで発信する台湾の人気男性ブロガー、大方さん(43)を招待し、函館と東北を1週間かけてまわった。
空路で函館入りし、朝市で海鮮丼を味わったり、函館山からの夜景を観賞したり函館の「定番コース」を楽しんだ後、北海道新幹線で青森や宮城へ足を運んだ。青森の十和田湖や奥入瀬渓流で涼み、仙台では牛タンを堪能。仙台空港から帰路に就いた。
大方さんは行く先々で写真を撮り、交流サイト「フェイスブック」に投稿するたびに多くの反応があった。大方さんは「東北は東京や北海道ほどメジャーな観光地でないが、すてきな場所がたくさんある」と評価した。
東北運輸局によると、昨年度の東北6県の外国人宿泊者数は約53万人で、東日本大震災前の水準に回復。同運輸局の宍戸義明国際係長は「豊かな自然や歴史があり、見どころは多い。知名度の高い函館を起点に、新幹線を使って東北にも足を運んでもらえれば」と狙いを話す。
JR東日本も4月から、外国人観光客が購入できる北海道新幹線とJR東日本の鉄道が乗り放題になる定額レールパスを発売。8月12日には台湾のLCC、タイガーエア台湾が函館-台北の定期便を就航し、新たな客層の開拓に期待が広がる。
函館市の工藤寿樹市長は「北海道新幹線や、タイガーエアが就航する空港と連携して、北海道と東北、北関東、首都圏を巡る新たなルートを提案したい。北海道観光とはまた別の魅力を提供できるはず」と話した。
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