ゾンビを倒せ!ゴジラを撃退しろ! VRやARが大きく広げるエンタメの世界
「ポケモンGO」が日本でもサービス開始となってわき上がる、現実の世界をコンピュータの力で変えて見せる新しいエンターテインメントへの関心。東京のお台場や池袋にあるテーマパークには、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術が使われたアトラクションが続々と登場して、近未来の遊びのビジョンを見せてくれている。
現実を超えたリアリティがそこにある。セガ・ライブクリエイション(東京都品川区)が東京・お台場で運営しているテーマパーク「東京ジョイポリス」に7月23日、新しいVRアトラクション「ZERO LATENCY VR」が登場した。オーストラリアのゼロ・レイテンシー社が開発したもので、東京ジョイポリスでは第1弾ソフト「ゾンビサバイバル」が提供されている。
「ZERO LATENCY VR」の最大の特徴は、空間の中をプレーヤーが能動的に動き回れる「フリーローム」が実現されている点だ。PCが入ったバックパックを背負い、床に白線で格子模様が描かれただけの部屋に入ってVRヘッドマウントディスプレイを装着すると、そこがゾンビでいっぱいの廃墟に早変わりする。プレーヤーは救出が来るまでの間、廃墟の中を歩き回り、手にした銃でゾンビを撃ち続ける。
他のプレーヤーが近づいてきた時は、警告が出るためぶつかる前に避けられる。プレー画面に登場するエレベーターに乗り込んで操作すると、見えている景色も変わって本当に上がっている感覚になれる。もっとも、周辺から見ればプレーヤーはそこに立ったままで、上にも下にも行っていない。VRが見せる幻が、プレーヤーの感覚に働きかけている。
仲間に背中を預けるようにして、それぞれが迫るゾンビを倒すチームプレイも可能なら、ゾンビを探して前後左右を見渡し、向かっていくような遊び方も楽しめる。ゾンビ映画の主人公や、ゾンビゲームのキャラクターになった気分を味わえる「ゾンビサバイバル」。こうした「フリーローム」によって「6人同時にプレー」が可能なアトラクションは世界初で、東京ジョイポリスが初導入となる。
バンダイナムコエンターテインメント(東京都港区)とナムコ(同)が、同じく東京・お台場で運営している「VR ZONE Project i Can」には、ロボットの操縦や、スキーのダウンヒルを体験できるVRアトラクションが登場して、話題になっている。これらは、動くシートやスキー板を模した装置に載って、自分は動かなくても動いているような感覚にさせてくれる。
対して「ZERO LATENCY VR」は、空間の中を能動的に動き回れる。自由さがあり、6人が同時にプレーできる楽しさは、VRアトラクションが持つ可能性を大きく広げそうだ。料金は東京ジョイポリス入場料+1800円(オープニング価格)。年齢は13歳からで、プレー時間はブリーフィング時間15分、実際のゲーム時間15分の計30分。
ゴジラと戦ったり、ゴジラに踏み潰されたり。そんな貴重な体験ができるアトラクションが、東京・池袋のサンシャインシティに登場した。眼帯姿の女性研究員に案内された部屋で目に入るのは、ビルが立ち並ぶ市街地の光景。そこで、スマートフォンがセットされたヘッドマウントディスプレイを装着して前を向くと、市街地の光景はそのままに、CGで描かれたゴジラの姿が現れる。
ナンジャタウンで7月15日から9月25日まで、期間限定で登場した「ゴジラアタック 出撃!G-FORCE」は、現実のビジョンに仮想のビジョンを重ね合わせて見せるARの技術が使われたアトラクション。プレーヤーがセンサーをはめた腕を前に突き出し、上から下へと振り下ろすと、動きに合わせて光線が飛び出し、迫ってくるゴジラを攻撃できる。
一度に6人までプレー可能で、全員が力を合わせて光線を繰り出し、ゴジラにダメージを与えていく。凶暴な怪獣だけあって、口から熱線を吐いて襲ってくるため、プレーヤーはその都度しゃがんで熱線を避けながら攻撃を続けていく。自分の腕でゴジラを相手に戦う楽しさを体感できる。
新しいVRアトラクションの開発も進んでいる模様。7月6日から8日まで、千葉市美浜区の幕張メッセで開かれた「第3回ライブ&イベント産業展」には、メディアフロント・ジャパン(東京都渋谷区)がいくつかのVRアトラクションを展示していた。
目を開くとそこは高いビルの上。迫ってくるドローンを手にした銃で撃ち落としながら、空中に突き出た橋を渡って、下ろされたハシゴにたどり着ければ脱出成功というアトラクションには、高所に怯えて足を踏み出せない人が続出。他にも可動型のシートに座り、VRヘッドマウントディスプレイを着けて、高所を突き進むジェットコースターに乗っている感覚になれるアトラクションなどを出展して、導入先を募っていた。
内外で開発が進むこうしたVRやARのアトラクションが各所に導入され、比較されながらさらなる臨場感を持ったアトラクションが作り出されていく。その先に現れる次世代のエンターテインメントは、どれだけの驚きをもたらしてくれるのだろうか。
写真 傍目には何もない空間でもプレーヤーには廃墟でゾンビと戦う空間になる「ZERO LATENCY VR」の「ゾンビサバイバル」(セガ・ライブクリエイション提供)
写真 VRヘッドマウントディスプレイを装着するとゾンビあふれる廃墟に一変(セガ・ライブクリエイション提供)
写真 ヘッドマウントディスプレイを装着してゴジラ撃退に挑むARアトラクション「ゴジラアタック 出撃!G-FORCE」
写真 プレーヤーの目には街並みに重なってゴジラが見える(ナムコ提供、画像はプレイイメージ)TM&(C)TOHO CO., LTD.
写真 メディアフロント・ジャパンのVRを地下アイドルグループ「仮面女子」が体験していた
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