日本産クラフトビール首位狙う ヤッホーブルーイング、米で販売強化

 
米国でのビールイベント。試験販売された商品を買い求める人でブースには行列ができた

 クラフトビール国内首位のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)は米国での販売を強化する。輸出専用商品と、米国メーカーと共同開発した商品を投入して、イベントやレストランでの浸透を図る。米国で飲まれる日本産クラフトビール首位を目指して認知度を向上させ、日本市場にも波及させる。

 輸出専用商品は「SORRY UMAMI(ソーリー ウマミ)-IPA」。同社初の輸出専用で7月から米国内のスーパー、レストランで販売している。日本らしさをアピールするため、かつおぶしのうまみ成分であるアミノ酸を活用して酵母を活性化させた。パッションフルーツのような華やかな心地よい味と香りをつくりあげた。

 米クラフトビールメーカー、オスカーブルース(コロラド州)と共同開発した「KaBREWki(カブリューキ)」は、ユズを原料にホップの香りと繊細に絡み合う風味が特徴だ。

 両商品を米国のイベントで試験販売したところ、これまでにないコンセプトが注目され、ブースは購入希望者が列をなすほどにぎわった。

 同社はこれまでにも米国のほか台湾など13カ国・地域に輸出している。輸出額は売上高の1%ほどだが、このうち米国向けが半数近くを占め、伸び率も大きく成長を続けていることから本格的な拡販に乗り出した。

 日本のビール市場におけるクラフトビールの割合は1%未満とされる一方、米国では約20%を占める。メーカー数も日本の約200社に対して約4000社と、世界で最も重要なクラフトビール市場となっている。

 同社では、どこにもない日本らしいコンセプトのビールを投入することで、1年後には輸出額を前年比2倍に増やし、2030年ごろには輸出の割合を10%にまで高める。

 イベントへの出店のほか、スーパー、パブやレストランで販売する。とくに日本食レストランを最重要の販路と捉え「日本食に合うビールとして定着させて、まず米国でブランド価値を高め、日本でもクラフトビール文化を根付かせたい」(井手直行社長)と意気込んでいる。