映画に「バリアフリー時代」 音声ガイドアプリや聴覚障害者向け字幕
目が見えない人向けにスマートフォンを通じて情景描写の音声ガイドが聞ける映画を、東映が初めて全国的に配給する。23日公開の人気アニメ「ワンピース」の劇場版。業界挙げてバリアフリー化に取り組んでおり、耳が聞こえない人のための字幕付きの準備も進む。障害がある人も劇場で鑑賞する機会が広がりそうだ。
音声ガイドを利用するには、無料アプリ「UDCast」をあらかじめスマホやタブレット端末にダウンロードする必要がある。せりふの合間に場面を説明する音声ガイドが流れ、イヤホンで聞きながら映画を楽しむことができる。
これまでは特別な上映会でしか音声ガイド付きで映画を観賞することができなかった。障害者への差別的な取り扱いを禁止する障害者差別解消法が2013年に成立し、製作・配給大手4社でつくる日本映画製作者連盟(映連)や障害者団体などが協力し、アプリを開発した。
第1弾のワンピースは前作の観客動員数が567万人を記録しており、東映は「多くの人に興味を持ってもらえる」と期待する。松竹も人気俳優の生田斗真さんらが出演する8月公開の「秘密」に音声ガイドを付ける予定だ。映連は来年正月の上映作品で聴覚障害者向けに日本語字幕を付けることも目指している。東映の担当者は「障害がある人が映画を楽しむ環境が整いつつある。ぜひ利用してほしい」と話している。
ワンピースは全国の345館で公開。音声ガイド付き上映は140を超える劇場で始め、最終的には約300館に広げる予定だ。対応劇場は「ワンピース フィルム ゴールド」の公式ホームページにある「上映劇場一覧」で確認できる。
関連記事