通信大手、自動運転技術で火花「5Gの主戦場に」 DeNAやトヨタとタッグ
■ソフトバンクが今秋、ドコモ18年めどに実証実験
ソフトバンクは今秋から、NTTドコモは2018年をめどに、自動運転技術の実証実験を始めることが30日、分かった。自動運転には、現在の高速通信「LTE」より速度が100倍で遅延も10分の1という第5世代移動通信方式(5G)の活用が不可欠とみられる。また、バスやタクシーは無人化しても安全で利便性の高い運行管理が必要で、情報通信・IT各社にも商機があるとみている。20年を当面の目標とし、実用化に向けて火花を散らしそうだ。
「5Gの主戦場は、自動運転になる」
自動運転技術を開発する東大発ベンチャー、先進モビリティとソフトバンクとの合弁会社、SBドライブの佐治友基社長はこう指摘する。遠隔操作でブレーキをかけた場合、5Gを使うと現行方式より格段に早く止まることができる。また、複数の自動走行車両が存在する場合、5Gなら電波が互いに干渉する懸念が小さいという。
4月に設立されたSBドライブは今秋からコース内で、センサーやハンドル操作、障害物の回避など、自動運転に必要な機能を有人で実証していくという。その後は自治体と組んで本格的な準備を進める。すでに北九州市(福岡県)、八頭町(鳥取県)と連携協定を締結しており、このほかにも観光地や離島、東日本大震災の被災地の自治体とも交渉しているという。
20年までに、無人バスが自動運転で決まったコースを巡回できるようにする。自治体の多くには、住民の生活に必要だが、人件費で赤字に陥っているバス路線がある。無人化で収支の改善を実現し、交通事業者などにシステムとして売り込んで収益化を目指すという。自動運転タクシーの実用化を目指すディー・エヌ・エー(DeNA)と自動運転ベンチャーZMPとの合弁会社ロボットタクシーも、高齢者ら“買い物弱者”の利便性を高めることが目的の一つだ。
ドコモもDeNAと提携し、本格的な技術開発に乗り出す。18年にも福岡市西区の九州大学新キャンパスで、欧州などですでに自動運転の実績がある仏ベンチャー企業の小型バスを使った実証実験を行う。自動車の位置や道路の障害物などの情報を把握する技術の精度を高め、自動車メーカーに売り込みを図る。7月8日に福岡市で会見を開いて発表する。
KDDIはトヨタ自動車と、世界共通の通信システムを共同開発する。車内で渋滞を避けるルートや地図の最新情報を安定して取得できるもので、自動運転にも活用される可能性がある。
■自動運転に取り組む主な企業の計画
・ソフトバンク
2020年までに決められたルートを自動走行するバスを実用化
・NTTドコモ
18年にも小型バスを使った自動運転技術の実証実験を開始
・DeNA
20年に都内で約3000台の自動運転タクシーを走行させる
・トヨタ自動車
高速道路で自動運転する車両を20年をめどに商品化
・日産自動車
18年に高速の複数レーン、20年に一般道の自動走行車両発売
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