個人消費喚起へ“地域限定”相次ぐ お茶、ビール、デザート…飲料メーカーや外食会社

 
アサヒビールが21日から数量限定で発売する初の地域限定品「クリアアサヒ関西仕立て」=大阪府吹田市の同社吹田工場(栗井裕美子撮影)

 大手飲料メーカーや外食会社などが、“地域限定”の商品やサービスを相次ぎ打ち出している。アサヒ飲料はお茶、キリンビールはビール、日本マクドナルドはデザートを投入した。各社は多様化する個人のニーズにきめ細かく対応し、低迷する個人消費を喚起する狙いだ。

 「露出を増やし、需要を掘り起こしたい」。ブレンド茶の地域限定商品を発売したアサヒ飲料の岸上克彦社長は、その理由をこう説明する。

 同社は全国を「北海道」「東北」「関東・甲信越」「中部・北陸」「関西」「中国・四国」「九州・沖縄」の7地域に分け、その地域で採れた素材をブレンドした7種類の「十六茶 ご当地素材ブレンド」を7日に発売した。

 ビール業界でも地域色を前面に出した商品が相次ぐ。キリンビールは全国47都道府県ごとに味わいが異なる「47都道府県の一番搾り」を5月から順次発売。アサヒビールも第3のビールの新商品「クリアアサヒ 関西仕立て」を近畿2府4県限定で21日に発売する。お好み焼きやたこ焼きなどソースを使った料理に合うような味に仕上げた。

 そのほか、日本マクドナルドは8日、小倉あんを使ったデザート「小倉ソフトホットケーキ」を愛知県限定で発売した。パンに小倉あんをのせた名古屋名物「小倉トースト」にヒントを得た商品で、地元密着の姿勢を打ち出し、顧客を増やす狙いだ。

 内閣府が8日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)改定値で、個人消費は0.6%増と速報値から上方修正されたが、「消費はほとんど伸びておらず、デフレ志向の強まりで先行きが懸念される」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)との指摘は多い。個人消費を喚起するため、企業は地域限定商品の投入など“あの手この手”で工夫を凝らしている。