百貨店の「友の会」や旅行会社の積み立ては、お得か? マイナス金利の損得は?

 
近鉄百貨店の本店にある近鉄友の会サロンで申し込みをする客ら=大阪市阿倍野区

 百貨店の「友の会」や旅行会社の積み立てサービスが人気だ。使い道は限られるが、毎月一定額を積み立てるとボーナスがもらえる仕組み。日銀のマイナス金利政策導入の影響で銀行預金の金利が0%に近づく中、実質的な「利回り」が高く、お得感がある。子供の教育費用に備える学資保険も、受け取る総額が支払う保険料総額のどのくらいかを示す「受取率」の高い商品が注目されている。

 預けていても…

 近鉄百貨店の「近鉄友の会」では毎月一定額を12カ月間積み立てると、1カ月分をボーナスとして加算。店舗によって異なるが、月5000~3万円のコースがある。月1万円のコースは12万円積み立てれば、1万円分が上乗せされた「買い物券」がもらえる。金融商品ではないが、実質的に年約8%の利回りが見込める。全国の提携ホテルや飲食店を優待価格で利用できる特典もある。

 同百貨店によると、1月のマイナス金利導入決定以降、2~4月の新規入会者数は前年同期比約2.3倍。50代以上が8割を占めるが、20~30代の女性も増えているという。入会者からは「銀行に預けていても(利息が少なく)仕方がない。少しでも得になるものはないか探していた」といった声が寄せられるという。

 広報担当者は「マイナス金利が追い風になっている」と話す。

 旅好きにうれしいプランもある。旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は、2006年に旅行費用積み立てプラン「貯めチャオ」を始めた。毎月決まった金額を積み立てるコースやボーナス併用などがある。

 毎月の金額は3000円以上からで、積立回数を6~60回の指定回数から選ぶ。満期になるとサービス額分が加算され、同社のツアーなどに使える商品券を受け取ることができる。満期の商品券額も5万円以上から1万円単位で決められる。プランによって実質的な利回りは異なるが、年1.6~2.45%に設定されている。

 同社によると、10周年キャンペーンを実施したこともあり、2~4月の申込件数は前年同期の10倍を超えるという。

 広報担当者は「目的を持った資産運用の一つとして、高いサービス額の付与される旅行積み立てが注目されている」と説明する。

 孫に贈与も

 子供の教育費に備える積み立てもある。明治安田生命保険は「無配当こども保険 明治安田生命つみたて学資」を15年から提供。契約者は18~70歳までで、被保険者となる子供は0~6歳までが対象。保険料支払期間は5年以上か全期前納払いなどを選択できる。

 例えば基本的なタイプとなるI型の場合、5年間、月4万1129円支払うと、払込総額は246万7740円だが、子供が21歳になった満期での受取総額は300万円で、「受取率」は121.5%となる。

 広報担当者は「契約者が祖父母という例も増えている。孫に贈与するため、短期間で保険料を支払って高い受取率を求めるケースが多い」と話している。