遊技産業の視点 Weekly View

 □タイヨーエレック代表取締役 ジーグ社長・甘利祐一

 ■一人でも多く楽しんでもらえる娯楽に

 パラダイムシフトともいうべき状況下で、いま遊技産業は何をすべきなのか。この問いに対して、さまざまに回答はあると思う。だが、そこで優先されるべき答えは1つ。パチンコ・パチスロという遊びを、ファンにより楽しんでもらえる、また一人でも多くの人々に楽しんでもらえる娯楽にすることだ。

 そもそも“産業”は、その業が生み出す製品やサービスを必要とし、支えてくれる人々がいてこそ、社会に存在が許される。その事実に真摯(しんし)に向き合い、まずは顧客目線に軸足を置いた市場活性化に向け、業界を挙げて全方位の試行錯誤を行う時期に来ている。

 この業界の大転換期にあって、4月1日、サミーとユニバーサルエンターテインメントは合弁会社ジーグを設立した。ファンの視点を重視してきた両社が、さらなる市場の魅力増および活性化に向け、手を結んだことになる。事業内容としてはファブレスでのユニット供給がメインとなっているが、遊技機開発における技術的なシナジー効果を発揮するとともに、他社メーカーを含めて部材の共通化が進むことでのコスト減も視野に入れている。

 このたび、私が同社の代表取締役社長に就任することになったが、ジーグの設立は単なるユニット供給会社の共同経営にとどまらない。シュリンクする市場に対して新しい魅力を市場に提供していくことはもちろん、両社が協力し合える土壌を作り上げたことに大きな意味がある。つまり、業界に届けたいメッセージは「企業として競うべきは競いながら、協力できるところは協力し、業界を挙げてファンに支持され続ける持続可能な産業像を描くこと」だ。

 今回の試みのもと、両社社員の交流も進み、広報サイドでは6月にサミーが主催するファン向けイベントに、ユニバーサルエンターテインメントも参加することになった。自社ファンの育成のみならず、同時に産業のファンを育てることを考えねばならない時代。この協業は、遊技産業が成長するために新たな変貌を遂げる「きっかけ」となる展開だと自負している。

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【プロフィル】甘利祐一

 あまり・ゆういち 1963年、東京都生まれ。明治大学経営学部卒。三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)勤務を経て、2006年サミーに入社。11年にグループ企業であるタイヨーエレック代表取締役に就任。16年、サミーとユニバーサルエンターテインメントの合弁会社ジーグの社長にも就任した。