外国人採用、大企業も拡大 ローソンなど 海外展開にらみ多国籍化
国内の大企業で外国人を正社員として採用する動きが広がってきた。ローソンはここ数年、新卒採用の1~3割程度が外国人で、富士通や日立製作所は2017年度新卒採用予定の約1割を占めている。従来は人手不足の中小企業が採用の中心だったが、大企業も海外展開や訪日外国人客向けのサービス拡充に対応するため、社内の多国籍化を迫られている。
ただ、あいまいな点が多い日本の雇用慣行に戸惑う外国人は多く、企業が採用を本格化するには、福利厚生や研修の強化、人事・賃金制度の見直しも課題となっている。
海外事業拡大をにらむローソンでは、15年春に28人、16年春に16人の外国人が入社し、17年度も増やす。富士通は500人の新卒採用のうち50人程度、JXエネルギーは大卒などの110人の約1割が外国人になる見通し。資生堂は16年度に過去最多の8人を採用し、さらに増やしていく。
共同通信が主要企業に実施した採用アンケートでも「将来的に外国人社員を増やす方針か」との問いに対し、回答した28社の半数近い13社が前向きな姿勢を示した。三菱化学や旭化成などのメーカーから高島屋や三井住友海上火災保険、オリックスまで幅広い。
採用するのは日本への留学生が多く、ローソンは「日本人と採用プロセスは同じ」とするが、日立のように優秀な人材を求めて海外の説明会に参加する企業も増えている。富士通はアジアの理系の大学生に現地でアプローチし、日本で外国人向けのインターンシップを実施している。
今後の課題では、「キャリアに関する(会社側と本人の)考え方のすりあわせ」(川崎重工業)といった人事・処遇面に加え、「在留資格の認定手続きに時間がかかる」(富士通)といった問題を指摘する声が出ている。外国人社員の定着に向けて「職場表記や朝会の英語化」(第一生命保険)といった工夫を凝らす企業もある。
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【用語解説】外国人の雇用
外国籍の人が国内で働く場合、入国時などに付与される「在留資格」によって職種や期間が異なり、高度な技術・専門職や技能実習生などに分かれる。厚生労働省の調査では、アルバイトなどを含めた国内で働く外国人は、2015年10月末で約91万人と前年から約15%増えた。企業の規模別でみると、従業員30人未満の事業所で働く外国人が最も多く、全体の約34%を占めている。
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