「実質0円」店頭から姿消す 端末販売減少は不可避、携帯3社は次の一手模索

 

 携帯電話大手3社は、2月1日からスマートフォンの販売価格を引き上げたことで端末販売台数の減少が避けられず、通期業績に影響を及ぼす可能性も出てきた。3社は代理店に支払う販売奨励金や乗り換えの割引を削減することで端末代金の割引幅を圧縮。足元は販促費の削減が業績にプラスに働く見通しだが、かき入れ時の年度末商戦での端末販売へのブレーキは痛手となりそうだ。

 2月に入り携帯販売店の店頭から「実質0円」が姿を消し、稼ぎ頭の「アイフォーン6s」は1万800円に“値上がり”した。家電量販店や代理店の客足は大きく落ち込んでおり、販売減は避けられそうにない。

 ソフトバンクの宮内謙社長は10日、ソフトバンクグループの決算会見で「過度なキャッシュバック(現金還元)が削減されたので前年2月と比べて少し落ちたが、大きなダウンではない」と説明したものの、各社とも影響は小さくなさそうだ。

 3月以降はデータ使用量の少ないライトユーザー向け低料金プランの提供も始まるため、現在の料金プランから何割が移行するかも気になる。NTTドコモの加藤薫社長は「客層の分布ではデータ使用量が月1ギガバイト未満は確かにいる。一定の減収はある」と心配する。

 ただ、高市早苗総務相は「あくまで第1弾」とさらなる料金引き下げを求めている。NTTの鵜浦博夫社長は「ドコモは4月には次の料金プランを発表するのが私の理想」と新たな対応を示唆しており、他社も業績影響を考えながら次の一手を探ることになる。

 ■携帯電話販売に関する大手3社社長の発言

 □NTTドコモの加藤薫社長(1月29日)

 ≪新料金・実質0円廃止の影響≫

 一定の減収はあると思うが組み合わせの幅が広がった。販売台数も減る傾向だが極小化したい

 ≪今後の方針≫

 利用者に便利な新料金プランの追加や端末販売方法を適宜発表すべく検討する

                   ◇

 □KDDIの田中孝司社長(2月9日)

 ≪新料金・実質0円廃止の影響≫

 1月末までは来客はあふれんばかりだったが、2月は2割は減った。それ以上の店舗もある

 ≪今後の方針≫

 中期的には客のニーズに合った端末価格になるだろう。現状は第2弾の予定はない

                   ◇

 □ソフトバンクグループの孫正義社長(2月10日)

 ≪新料金・実質0円廃止の影響≫

 利用者によかれと思って始めたサービスが、けしからんというので変えるが、利用者目線で改善か改悪かは議論がある。新料金の業績への影響はプラスマイナス両方。利用者の流動性が低下しても逆風ではない

 ≪今後の方針≫

 常にさまざまなことを真剣に検討しているが(時期などは)コメントすべきでない。いろいろな形での還元はありえる