東芝が半導体新工場、3次元メモリー本格量産へ サムスンとの競争で優位に

 

 不正会計問題で経営再建中の東芝が、記憶用半導体の新工場を三重県四日市市に建設する方向で調整に入ったことが8日、わかった。平成30年度ごろの稼働を目指し、記憶容量を高めた3次元構造の半導体(3次元メモリー)を本格的に量産する。医療機器子会社の売却益や銀行借り入れで資金調達し、数年で5千億円規模の投資を行う。限られた投資余力を主力事業に振り向け、収益力強化をはかる。

 27年度中に策定する中期経営計画の目玉として盛り込む方針。3次元メモリーの量産は昨年完成した同市内の記憶用半導体の工場建屋の一部をまず活用する。今後、需要が大幅に拡大するとみて来年度にも新工場建設に着手する。同市が保有する隣接地などを取得して新棟をつくり、最新設備を導入。記憶用半導体の工場建設と同じく、米サンディスクと折半で投資する。

 東芝は、不正会計問題の発覚前から、記憶用半導体に年間2千億円程度の設備投資を行うとしてきた。財務状況は悪化したが投資額は減らさず、新棟を順次建てる手法で機動的に供給力を増やす。これにより韓国サムスン電子との競争を優位に運ぶ考えだ。

 記憶用半導体はスマートフォンなどで使われる。これまでは回路の線幅を微細化することで容量拡大を行っていたが、3次元メモリーは記憶素子を垂直に積み重ねて容量を増やす。量産には高度な技術が必要で、新工場の成否は東芝の命運を握る。