日本商工会議所が30日発表した早期景気観測によると、令和4年度の所定内賃金動向を調べた結果、賃上げする理由として「物価上昇」を挙げた企業が3年12月調査比18・4ポイント増の29・2%と大きく増加した。日商は、資源価格高騰などで物価が上昇する中、人材確保などで賃上げを実施する様子が読み取れるとしている。賃上げ実施企業(予定含む)は9・5ポイント増の50・9%。一方、「賃上げを見送る・未定」とした企業のうち「今後の経営環境・経済状況が不透明」を挙げた企業が同0・9ポイント増の76・9%と最多になった。
6月の景気観測で、経営に新型コロナウイルスの影響が続いていると回答した企業は前月比2・0ポイント減の59・5%と3カ月連続で改善した。ただ、コロナの影響改善により売り上げが回復する一方で、円安や資源価格高騰などのコスト増を懸念する声が多く挙がっているとしている。
また、好転の割合から悪化の割合を引いた6月の業況DIはマイナス20・3で、前月から0・1ポイント改善。人流が回復に向かい、外食や宿泊関連のサービス業で業況が改善。住宅関連の民間工事が堅調だった建設業も改善した。一方、資源価格高騰などの影響で製造業や卸売業で業況が悪化に転じた。
地域別では関東、東海、四国でDIが前月より悪化。関東では、消費マインドの低下に伴い製造業で業況が悪化。東海では資材価格高騰によるコスト増の影響で建設業の業況が悪化したことなどが影響した。
中小企業を中心に6月15~21日にかけ、全国の商工会議所がヒアリングし、2063社から有効回答を得た。