夏のエアコン利用で約3割の人が「ガマンできるときは消す」としていることが、パナソニックの調査で明らかになった。「ほぼ使わない」「使わない」を合わせた「我慢派・使わない派」は合わせて4割超に達した。消防庁の統計によると、7~8月は熱中症による救急搬送が急増する時期。住居での発生が最も多く、同社広報担当者は「熱中症は生死にかかわる問題。工夫して賢くエアコンを利用してほしい」と話している。
調査は5月30日から6月1日にかけて、インターネットを通じて実施。20代から60代の男女1084人から回答を得た。
夏のエアコンの利用について通常時と睡眠時に分けて質問したところ、「暑いと感じたらつける」と回答したのは、通常時で59%、睡眠時で51%だった。「ガマンできるときは消す」「ほぼ使わない」「使わない」を合わせた我慢派・使わない派は通常時で41%、睡眠時で48%だった(四捨五入により、円グラフの数値の合計は内訳と一致しない)。
高齢者ほど熱中症に注意
電力各社が電力料金の値上げに踏み切り、節電に意識が向くが、夏場は注意が必要だ。消防庁によると、熱中症の発生時期は7~8月が際立って多い。最近の熱中症救急搬送人数は7~8月の合計で全体の8~9割を占めており、救急搬送の4割前後が住居で発生したという。
令和2年夏の東京23区の熱中症死亡者の状況(速報値)を東京都監察医務院が調べたところ、屋内での死亡者のうち約9割がエアコンを使用していなかった。元年夏の状況を調べた際には、日中よりも夜間のほうが死亡者が多かったという。
特に高齢者は、暑さに対する感覚機能や体の調節機能の低下により、熱中症になりやすいとされる。消防庁の調べでも、昨年の熱中症による救急搬送は、65歳以上の高齢者が56・3%と過半数に達した。
設定温度下げるより風量を上げる
節電しつつ熱中症を避けるには、賢いエアコンの利用が不可欠だ。パナソニックによると、設定温度を1度上げると約13%の省エネにつながり、設定温度を下げるよりも風量を上げるほうが省エネ効果が高く、体感温度も下がるという。
このほか、室内でのサーキュレーターの併用、2週間に1回を目安にしたフィルターの清掃、室外機周辺の風通しを良くすることなどで、節電効果が上がるとしている。