都会の上空を電気自動車(EV)が飛ぶ─。東京・表参道交差点近くの屋外広告で、独アウディの新型EV「Q4 e―tron(イートロン)」の三次元(3D)映像が登場した。専用眼鏡を使わなくても、目の錯覚を起こすことで平面の広告が立体的に浮き上がって見える。アウディはインパクトのある先進的な映像技術を使い、次世代車の主役と期待されるEVの普及を加速させたい考えだ。
Q4 e―tronは、今秋以降に発売予定のスポーツ用多目的車(SUV)タイプのEVだ。
映像は表参道交差点近くの屋外広告「「OMOSANシンクロ」を使い、7月3日まで放映される。3段6面の計約300平方㍍にも及ぶL字型巨大ビジョンを活用。空中に浮かぶかのように登場したスタイリッシュな車両が疾走したり、充電したりする30秒の3D映像が繰り返し流される。
最近は表参道交差点の人の往来も回復しつつある。信号待ちの間に映像を鑑賞することができ、PR効果が見込める。
新宿には巨大三毛猫
屋外広告を活用した3D映像作品はこれまでも都心部の渋谷や新宿で放映されてきた。
昨年7月からは、待ち合わせなどによく使われるJR新宿駅東口広場に面したビル屋上に設置された広告「クロスビジョン新宿」の本格運用が始まった。巨大な三毛猫が本物のように動いたり、鳴いたりする映像は子供から大人まで楽しめ、新宿の新たな「名物」として定着しつつある。
日本の自動車市場は今年、国内外のメーカーのEVの新型車の投入が相次ぎ、「EV元年」とも呼ばれる。
国内メーカーは人気俳優やお笑いタレントを起用したCMを放映。トヨタ自動車は香川照之さん、日産自動車は松たか子さん、三菱自動車は劇団ひとりさんとそれぞれタッグを組んで消費者へアピールする。
EVの本格普及を目指し、各社のPR合戦も一段と過熱しそうだ。(宇野貴文)