今年2月、TMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)は会員同士が連携し、特定のテーマにおける課題解決を推進するプロジェクト「イノベーションサークル」を始動させました。すでに複数のサークルが立ち上がり、会員企業やパートナーが主体となった様々な取り組みが生まれています。
今回は、そのうちの1つであるペットイノベーションサークルが「ペット動物のイノベーション創出」をテーマにイベントを開催しました。ペット産業において、先進的な取り組みを進める企業や自治体の代表者を招き、共生都市やペットツーリズムについての事例を紹介。また、日本のペット産業が目指す将来像や創出が期待されるイノベーションについて、考えを深める時間となりました
ペット需要が高まるなか、増え続ける課題をどう解決するか?
イベント冒頭には、ペットイノベーションサークル発起人であり、戦略コンサルティングファームのモニターデロイトに所属する田中晴基氏が登壇。自身も愛犬家である同氏はまず、国内ペット産業が抱える課題について共有しました。
田中氏「コロナ禍の影響により、新たにペットを家族として迎える人々が増えたと言われています。ペット需要が高まりを見せる一方で、自宅から一歩外に出れば多くの場所が『ペット不可』であり、『ペットと人が共生する社会』とは呼び難い状況にあります。
ペットと一緒に出かけられる場所が少ないのは、飼い主やペットにとってはもちろん、ペット産業全体にとっても深刻な問題です。購入を検討する人にとっては、ペットと一緒に過ごせる時間が限られてしまうことが要因となり、『飼わない』という決断につながる可能性もあります。また、最悪の場合は飼い主がペットを手放す原因にもなってしまうかもしれません。さまざまな施策を通して、この課題を解いていく必要があります」
今回のイベントでは、田中氏が述べたような課題にいち早く着目し、ペット産業の最前線で試行錯誤を続ける企業や自治体の方々が登壇。4名それぞれが実践する取り組みから、今後の展望までを話しました。
■登壇者名
・デロイトトーマツコンサルティング道川真帆氏
・株式会社西武ホールディングス経営企画本部西武ラボ部長田中健司氏
・ペッツオーライ株式会社CEO小早川斉氏
・一般社団法人軽井沢観光協会軽井沢ドッグツーリズム推進プロジェクト担当理事西山紀子氏
「ペットとの共生社会」実現に向けた、それぞれの試行錯誤
まずは、デロイトトーマツコンサルティング道川氏が「ペット共生都市とペットツーリズムの国内の現状と、海外の最新動向」をテーマに、ペットと出かける際の課題について共有しました。
道川氏「課題はペットツーリズムのための環境が整備されておらず、ペットを飼っている人々にとっての行き先候補が少ないことや、それによって外出を諦めてしまっている方が多くいることです。旅行を阻害する要因として『ペットがいること』を挙げる方もいます。また『ペットを飼うと旅行しづらくなってしまう』と考える方も少なくなく、旅行をはじめ他の産業にも影響を与えていることが考えられます」
道川氏は続けて、ペットツーリズム活性化の取り組みとして、2つの海外事例を紹介します。