――相続診断協会は昨年12月、設立10周年を迎えた
「遺産相続で家族が争うという親不孝はあってはならないと考え、相続を円滑に進める『笑顔相続』を大事にしてきた。相続が〝争族〟にならないためには遺言を残す必要があるがハードルが高いので、(自分の考えや家族への思いを残しておく)エンディングノートを推奨している。親子のコミュニケーションツールとなり、関係が深まるからだ」
――相続問題で家族と向き合う相続診断士を何人認定したのか
「10年かけて約4万3000人になった。毎年130万~140万人が亡くなっているので、この数では相続問題を手伝いきれない。5年後をめどに10万人規模に増やしたいし、国家資格を目指したい」
――相続診断士の育成については
「相続診断士同士の勉強会として全国に34の『相続診断士会』があり、定期的に研修会を開いたり、情報交換の場を設けたりして活動を支援している。6県が準備中で、なるべく早く全国展開したい」
――笑顔相続を増やす取り組みは
「相続診断士の活動を補助するコンテンツとして落語を始めた。これまでに298回開催し、3万6400人超が参加した。このうち1万人超がエンディングノートを書いてくれた。落語を聞くとスムーズに進む。相続診断士の育成とともに、こうした啓蒙(けいもう)活動にも取り組んでいく」(松岡健夫、写真も)
おがわ・みのる 成城大経卒。昭和61年河合康夫税理士事務所勤務。インベストメント・バンクを経て平成10年税理士登録し個人事務所開業。14年税理士法人HOP設立。23年相続診断協会代表理事。岐阜県出身。