「百貨店体験」の真価を問う高島屋のショールーミングストア事業 ネット購買層は実店舗に足を運ぶか?

高島屋が始める「ショールーミングストア」とは?

今年4月から高島屋がショールーミングストア事業を開始するというリリースがありました。「ショールーミング(Showrooming)」とは、実店舗で実物をチェックした上で、別のオンラインストアで安く購入してしまうという消費者行動のことです。「ショールミングストア(Showrooming Store)」は、この消費者行動に対応すべく、そもそも在庫を持たず、試用・試着のみに特化し、購買は自社オンラインサイトへと誘導することを目指した店舗のことです。「店舗では見本のみ」…新車販売店などはそもそもこの形態になっていますので、みなさんも想像しやすいのではないでしょうか。

高島屋新宿店2階にオープン予定の、ショールーミングストア実店舗のイメージ(プレスリリースより)
高島屋新宿店2階にオープン予定の、ショールーミングストア実店舗のイメージ(プレスリリースより)

高島屋のショールーミングストアには、高島屋が自社で買い付け・仕入れた商品が並べられるのではなく、各メーカーや各ブランドが出品し、その商品が並べられます。消費者は高島屋内の実店舗でその実物を手に取ることができるのです。

ショールーミングストアが提供できる「価値」とは

高島屋が導入する、この「ショールーミングストア」というビジネスモデルが提供できる価値をマーケティングの観点で整理してみましょう。

1. 出品者にとっての価値

  • 実店舗の自前出店よりも楽
  • 高島屋の既存顧客への接触機会

高島屋のショールーミングストアでは、それまでオンラインでしか展開していなかったような小さなブランドも実店舗を持つことができるのが魅力です。出品者は高島屋から販売員も用意してもらえます。これは、セレクトショップが担ってきた役割とも言えますが、出品者側が「出店料」を払うという点で、セレクトショップよりも、最近、百貨店業界で流行の「百貨店のショッピングモール化」というビジネスモデルに近いですね。

2. 既存顧客にとっての価値

  • 今までにない製品に触れられる

高島屋は製品を買い取って陳列するわけではありませんので、よりチャレンジングな品揃えをすることができます。高島屋の既存顧客は、実店舗で接客を受けながら、オンラインでしか買えなかったような“尖った”製品に実際に触れられるという点では、実はここが一番の狙い目なのではないかと感じます。

(SankeiBiz)
(SankeiBiz)

高島屋にとってはこれまで扱えなかった(扱わなかった)ラインナップを提供することになります。「経営戦略の父」といわれるイゴール・アンゾフ氏が発案した『アンゾフの成長マトリクス』における「新製品開発」に該当すると言えます。

3. 新規顧客にとっての価値

  • ネットでしか見られなかった製品に触れられる
  • 接客プレッシャーから解放される

ここが高島屋の勝負所でしょう。「新規顧客に新規製品を売る」わけですので、簡単ではありません。アンゾフの成長マトリクスにおける「多角化」だと言えます。接客プレッシャーからの解放を求める層に、プレッシャーをかけずにいかに試供から購買へとつなげるのかは本当に実現すればすごいことですね。

(SankeiBiz)
(SankeiBiz)

「ネットで買う」層は実店舗に足を運ぶか?

出品者側からすると、高島屋の既存顧客には間違いなく接することができます。高島屋の既存顧客へのセールスだけで十分価値があると判断できる場合ももちろんあるでしょう。しかし、高島屋としては、新規顧客を呼び込みたいはずです。

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