「まだ現役」電波天文学の草分け、野辺山宇宙電波観測所が40周年

    装置開発の舞台

    世代交代が進む中、同観測所の予算は削られ、令和元年に本館や食堂、共同利用宿舎の運用を終了するなど財政難にあえぐ。

    同観測所の存在意義について、常田佐久・国立天文台長は「アルマにない集光力や広い視野を生かして、新しい科学的成果を生むこと」と「若い人が観測装置を開発するプラットフォーム(舞台)」であることを強調する。国内にある同観測所なら、独創的な観測装置を導入しやすく、そうした機器開発や人材育成で果たす役割は大きいとする。

    望遠鏡の寿命についても、20年を超えるハワイのすばる望遠鏡が成果を出し続けていることなどを挙げ「搭載する受信機を新品に替えて、成果を生み出す望遠鏡であり続けることが期待されている」とした。

    「特別公開」再開へ

    同観測所の45メートルパラボラは依然として人気で、コロナ禍前は毎年の「特別公開」で2千人以上が訪れていたという。令和2~3年にかけて募集した、ふるさと納税を活用したCFや南牧村への直接寄付には延べ380人が協力、返礼品の費用などを引いた556万円超が南牧村から同観測所に寄付された。天文ファンや地元への最大の恩返しは、新型コロナで2年続けてオンラインのみとなった「特別公開」の再開だ。

    立松所長は「ぜひ夏にやりたい。45メートルの大きさで、700トンにもなるハイテク機器が緻密に動くのは、見る人の感性に訴える。これからを担う若い人たちに物をみていただきたい」と呼び掛ける。チリやハワイでなく本州の中央にある〝宝〟をもっと見直したい。(原田成樹)


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