新型コロナウイルスのオミクロン株の感染急拡大の影響で、感染者の濃厚接触者について医師が症状に基づき検査なしで「みなし陽性者」と診断できるようになった。国の通達によると、みなし陽性者は疑似症患者となるが、コロナ関連での入院保険などの給付申請時に不都合が出ないよう保険会社各社では対応を進めている。
厚生労働省は先月24日、検査なしで感染者とみなす運用を開始。これまでに大阪府や東京都などが取り組みを始めている。背景には医療機関の負担軽減があり、医師による診察があればみなし陽性でも従来の感染者への対応と原則変わらない。
一方で入院や自宅療養が必要となった際、各生命保険会社に入院給付金を請求する場合、PCR検査などでの「陽性」診断が前提となっていることが多く、みなし陽性の場合、入院給付金が受け取れるのかが曖昧となっていた。
各生命保険会社は基本的にはみなし陽性でも従来通りの対応を取る。第一生命保険はPCR検査の有無にかかわらず、保健所が発行する証明書があれば従来通り給付金を受け取れると説明。住友生命保険でも同様の対応だ。一方で、オリックス生命保険のように、「担当部署で検討を重ねている段階。現時点ではまだ何とも言えず、回答はできかねる」とする会社もある。保険会社各社が加盟する生命保険協会は「運用がまだ始まったばかりで、協会として一律の対応を促しているわけではないが、従来から業界で対応している宿泊・自宅療養への支払いと同様、各種証明書に基づいて支払いが行われるものと考えている」としている。