重症だが病気の原因が分からない85人の赤ちゃんのゲノム(全遺伝情報)を解析し、半数近い41人の病名を突き止めたと、慶応大などのチームが3日付の海外の専門誌に発表した。41人は、いずれも生まれつきの希少疾患だった。そのうち20人については、より良い検査や治療につなげることができたという。
新生児や小児の医療の分野でゲノム解析の有用性を示した研究。今回、東京や大阪など8都府県の計17の高度周産期母子医療センターで平成31年4月~令和3年3月に臨床研究として解析を行った。
現在は参加機関を他の病院にも広げている。中心的に関わってきた武内俊樹慶応大専任講師(小児科)は「赤ちゃんに最新の医療技術を届け、助かる仕組みを全国的に作りたい」と話している。
研究では生後1年以内の85人の赤ちゃんから採血をした。それぞれ、ミルクを飲まなかったり、ぐったりしたりといった重い症状があった。約2カ月後にゲノム解析の結果が出て、治療や臓器移植の方向性を決めるのに利用された。