《今回の社長を目指す法則・方程式:ティナ・シーリグ教授「インベンション・サイクル④ 起業家精神=粘り強く続ける+周りを巻き込む」》
ポストコロナに向けて上司の皆さんに求められる「アイデアを形にする力」。これまで3回に渡ってアイデアを実現するリーダーになる4つのステップのうち、「想像力」「クリエイティビティ」から「イノベーション」へと展開してきましたが、いよいよ総仕上げ、「起業家精神」の発揮です。
そもそも「起業家精神」とは何か?
よく使われる言葉ですが、そもそも「起業家精神」とは何でしょう? みなさんの定義はどのようなものですか?
起業家精神と聞いて、ドラッカーを思い浮かべる方も多いかもしれません(ドラッカーは「起業家精神」という表記も使いますが、多くは「企業家精神」としています)。彼の定義を引用しますと、以下のような説明になります。
「企業家精神とは、個人であれ組織であれ、独特の特性を持つ何かである。気質ではない。実際のところ私はいろいろな気質の人たちが、企業家的な挑戦を見事に成功させるのを見てきた」
「企業家精神の原理は、変化を当然のこととする行動であり姿勢である」
これだけでは、ちょっとよく分からないですね(苦笑)。
スタンフォード大学のティナ・シーリグ教授(工学部)は、起業家精神を次のように定義しています。
「起業家精神は、イノベーションを活用してユニークなアイデアを形にし、他の人たちの想像力を掻き立てる」
起業家は、事業をともに行う人、資金を提供する人、出来上がった製品やサービスを購入して使用する人など、多くの人たちの想像力を刺激し、それによって自分のアイデアを実現します。生み出した製品やサービスが、それを使う人・知った人たちに伝染することで想像力を刺激。それにより、その人たちのクリエイティビティが発揮され、イノベーションを引き起こし、新たな起業家精神を呼び起こす――こうしたサイクルが世の中全体に拡散するように回るのが、シーリグ教授が提唱する「インベンション・サイクル」です。
イノベーションの事業化を目指す企業にとって起業家精神が必要なのは言うまでもありませんが、起業家の視点で物事を考えることが難題解決につながることもあります。どのような事業活動や日々の業務、生活においてもこうした見方を持つことは重要と言えます。