被害額が正規の市場規模を超えた
漫画村が閉鎖した後も被害は続いており、2021年1月から10月までに海賊版の上位10サイトで“タダ読み”された被害額は7827億円に上ると、ABJは試算している。これは紙の単行本や雑誌、電子書籍などを合算した漫画の市場規模の6126億円(20年、出版科学研究所調べ)を上回る額だ。
一方で、海賊版対策の進行をうかがえることも起きている。21年11月頃、国内向けで最大規模の海賊版サイト「漫画BANK」が閉鎖した。著作権を侵害された集英社などの大手4社が、運営者の特定を進めたのが影響したとみられる。だが、一部では同サイトの後継を求める声もあり、軽い気持ちで海賊版サイトにアクセスしてしまうネットユーザーの姿が浮かび上がる。
「自分の作品をGoogleで検索すると、簡単に海賊版サイトが見つかってしまう」
海賊版対策に長年取り組んでいる赤松さんは以前、産経デジタルの取材に対しこう嘆いていた。文化庁は予算の一部を啓発活動にあてて、ネットユーザーの著作権保護の意識を高めることで、海賊版サイトへのアクセスを減らしたい考えだ。