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「昭和おじさんは若手に基準を合わせるべき」 世界一ギスギスした日本の職場を変える唯一の方法

無力感とイライラを募らせる若手たち

とりわけ年功序列のカルチャーが色濃い組織においては、組織内の見えない引力や同調圧力により年長者の声が悪気なく大きくなりがちです。

大手製造業のある部署のお話をしましょう。今までの仕事のやり方を変えようと若手がITシステムの導入を提案したところ、多数派を占める50代の社員の猛反発を受けて頓挫したそうです。

彼ら曰く「定年まで安泰に過ごしたい。頼むから余計なことはしないでくれ」とのこと。

気持ちは分からなくもないですが、組織の未来の発展を考えるとその発言はいかがなものでしょう。こうして、「自分たちが逃げ切ることしか考えていない、昭和のおじさんたちだけにとって幸せなパラダイス」がぬくぬくと育ってゆくのです。

そのような組織に良い人材が集まるわけがありません。成長を諦めたベテラン社員、危機感のない(それでいて自分の倍近い年収をもらっている)年長者に囲まれて、未来ある若手は無力感とイライラを募らせるのです。しかし、年長者が主流の組織はジェネレーションギャップにすら気づかない。年長者が自分たちにとって居心地が良い会社に対して愛社精神を高める一方、若手は静かに退社精神を育んでいるのです。

Z世代に合わせるしかない

では、ギスギスを解消するには基準をどこに合わせたらよいでしょう?

私はより若い世代に合わせるべきであると考えます。なぜなら、これからの組織やマーケットをつくっていくのは間違いなく若い世代だからです。X世代、Y世代、Z世代という言葉があります。

X世代:1960年代初頭または半ばから1970年代に生まれた世代

Y世代:1980年代から1990年代前半に生まれた世代

Z世代:1990年代後半から2000年代に生まれた世代

仕事のやり方やコミュニケーションの仕方をどの世代に合わせるべきか? 未来の組織とそこで働く個人の成長を考えるのであれば、Z世代に寄せていくのが健全でしょう。なぜなら、Z世代の価値観や行動特性は、VUCAの時代を生き抜くうえでも合理的であると考えられるからです。

また、Z世代は、デジタルネイティブ世代。デジタルツールを使いこなして情報の受発信を行い、素早く必要な情報を探し、素早くコラボレーションするスキルやマインドに長(た)けています。また、「上がこう言ったから」「今までのやり方がそうだったから」ではなく、世の中の動向やその仕事の目的を考え、「なぜそうなのか?」を疑うマインドを持っているのです。自分が所属する組織や仕事が社会にどう貢献しているのかを考える傾向もあります。

そのようなオープンなマインドとスキルを兼ね備えた世代に、ものの見方、考え方、働き方を合わせていったほうが間違いなく組織は前向きに発展するでしょう。職場のギスギスを未来志向で解消していくためには、若い世代に照準を合わせて組織をアップデートしていく。それしか方法はないと考えます。 (作家/ワークスタイル&組織開発専門家 沢渡 あまね)


沢渡 あまね(さわたり・あまね) 作家/ワークスタイル&組織開発専門家。あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOOアドバイザー/株式会社なないろのはな取締役・浜松ワークスタイルLab所長/ワークフロー総研フェロー。日産自動車、NTTデータで、情報システム・広報・ネットワークソリューション事業部門などの経験を経て現職。350以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。主な著書に『バリューサイクル・マネジメント』『職場の科学』『職場の問題地図』『マネージャーの問題地図』『仕事ごっこ』『仕事ごっこ』がある。#ダム際ワーキング 推進者。


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