「昭和おじさんは若手に基準を合わせるべき」 世界一ギスギスした日本の職場を変える唯一の方法

    2.旧態依然の職場環境

    職場環境も職場の空気に少なからず影響を与えます。

    世界最大のオフィス家具メーカー、スチールケース社(本社:米国ミシガン州)は、世界20カ国1万4903人を対象に、従業員のエンゲージメント(その組織や仕事に対する帰属意識や愛着や誇り)と職場環境の関係を明らかにするための調査を実施しました。

    その調査結果によると、日本の従業員エンゲージメントと職場環境満足度は最低。執務環境に対して、ネガティブに捉えている傾向も明らかになりました。

    どうも日本の旧来の組織はコスト削減の名の下、あるいは「仕事は辛くて当然」「皆で歯をくいしばって当然」のような気合・根性ベースの「べき論」の下、狭い職場環境、暗い職場環境、熱い/寒い職場環境、電話する大声や怒号が飛び交う騒々しい職場環境を放置してきたきらいがあるように感じてなりません。そのような殺伐とした職場環境で、働く人たちのモチベーションが高まるでしょうか? 生産性が高まるでしょうか? このような職場では、人は自分がプロとしてリスペクトされていない気持ちにさえなります。

    「この組織は自分をプロとして見てくれない」

    こうして、そこで働く人たちはその組織や仕事に対するエンゲージメントも下げていきます。贅沢せよとは言いませんが、すべての人がプロの仕事に集中できる、それでいてコミュニケーションしやすい執務環境を提供するのは組織の責任と言えるでしょう。

    3.ジェネレーションギャップ

    「職場で起こっている最も深刻な問題の一つは、ジェネレーションギャップやジェンダーギャップに対する鈍感さである」

    日本マイクロソフトの元業務執行役員で、現在は人材開発・組織開発の専門家として活躍する澤(さわ)円(まどか)氏は、日本の職場がギスギスする要因の一つをこう説明しています。

    世代間の価値観のズレ、いわゆるジェネレーションギャップは年々大きくなっていると言えるでしょう。学校を卒業したばかりの20歳前後の若手と、再雇用の60歳を超えた高齢の社員が同じチームで一緒に仕事をするのが当たり前の景色になりました。

    40代の部課長が、20代と50代、60代の部下をマネジメントするチームも珍しくなくなりつつあります。上司と部下、あるいはメンバー同士、物事の判断基準も、考え方も、心地の良い働き方やコミュニケーションスタイルも違って当然。それらのズレが職場の空気をぎこちなくする場合があります。

    正しく対話し、正しく議論し、あるいは譲り合い和解ができるならギクシャクはしません。

    しかし、現実にはなかなかそうはいかないでしょう。

    にもかかわらず、ジェネレーションギャップに真摯(しんし)に向き合おうとしない。あるいは、ともすれば今までのやり方や年長者の論理、あるいは同調圧力でもって押し切ろうとする。それでは、職場がさらにギスギスして当然です。


    Recommend

    Biz Plus