出光興産の子会社であるソーラーフロンティア(東京都千代田区)は、使い終わった太陽光パネルのリサイクル事業に乗り出す。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同でコストや環境負荷を抑えたリサイクル技術の開発に取り組んでおり、2022(令和4)年度からは宮崎県の工場敷地内のラインでリサイクル処理の実証研究を開始。必要な許認可を得るなどして24年度の事業化を目指す。
NEDOとの共同研究事業の期間は23年度までの4年間で、ソーラーフロンティアの国富(くにとみ)工場(宮崎県国富町)で行われている。
竹中勝志PVリサイクル準備室長は「22年度からは(装置を)実装したラインを使って実際に処理をしていく実証研究に入る」と説明する。2年ほどかけ、24年度の事業化を目指す。産業廃棄物処分業の許認可取得に向けた動きも進める。
事業を軌道に乗せるためには低コスト化が欠かせない。竹中室長は「手間暇をかけて分離した材料を、有価物として買い取ってもらい、使ってもらうことが、低コスト化を実現していく上で一番重要なポイントになる」と指摘。国富工場での技術開発と並行して、リサイクルした材料の将来的な販売先の開拓も進める。
太陽光パネルの製品寿命は一般的に25~30年程度とされる。太陽光発電は、東日本大震災後の12年に開始した再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を契機に事業用を中心に導入が急速に拡大したが、経年劣化して役目を終えた太陽光パネルが30年代後半にも、大量に排出される見通しだ。
18年11月に開かれた経済産業省の有識者会議で示されたNEDOの推計によると、年間排出量のピークは35~37年ごろの見通し。排出見込み量は、20年の約3000トンから30年に約2万2000トン、さらに36年には約17万~28万トンに急増し、産業廃棄物の最終処分量の1.7~2.7%に相当する量になるとした。
大量排出が現実化する段階で最終処分場が逼迫(ひっぱく)する事態を避けるためには、リサイクル処理の技術開発を加速させて商業的に成り立たせることが鍵を握る。
竹中室長は「長く使って最後にどうするのかまで考えている顧客は多い。最後の最後まで見据えた再生エネの普及をやりたいと顧客が望んでいるときに、対応できる仕組みを整えておけば、ビジネスチャンスにつながる」と話している。
(森田晶宏)