サプリ市場、初の1兆円超え コロナ禍、健康志向追い風

    サプリメント市場が拡大している
    サプリメント市場が拡大している

    新型コロナウイルスの感染拡大で消費者の健康志向や免疫への関心が高まったことを背景に、サプリメントの販売が好調だ。民間調査会社によると市場規模は今年初めて1兆円を超える見通しで、食品メーカーなどは拡大する需要の取り込みへ、商品開発やプロモーションに力を入れている。

    「睡眠サプリ市場はどんどん伸びていく」。サントリーウエルネスの担当者は10日、来年1月から販売する機能性表示食品「サントリー快眠セサミン」の説明会でこう指摘した。加齢や生活様式の変化により、睡眠に悩みを持つ人の利用を見込む。

    サプリメントは、特定の成分を錠剤や粉末にした健康食品の一種。平成27年に企業の責任で健康への効果を表示できる機能性表示食品制度がスタートしたことなどで、大手メーカーの開発も活発化した。

    厚生労働省の令和元年の国民健康・栄養調査によると、サプリのような健康食品を摂取していると答えた人は既に3割超に上っており、調査会社の富士経済はコロナ禍を背景とした「特需的な追い風」(同社)があった昨年と同様の傾向が続き、今年の市場規模は前年比3・4%増の1兆77億円と、初の1兆円超えを見込んでいる。

    特にスポーツ愛好家に支持されてきたプロテイン類は、在宅時間の増加に伴う〝コロナ太り〟対策として顧客層が拡大。明治ホールディングスは今年度上半期、タンパク質を多く含む「ザバス」ブランドをはじめとした栄養関係事業の営業利益が前年同期比で13・6%伸長。担当者は「筋肉質な男性向けとの商品イメージだったが、女性にも注目されている」と話す。

    また、巣ごもり期間中に食生活の乱れを気にする層が増えたことで、青汁類の人気が復活。味の素は、世界最小の葉野菜を原料とした「マンカイ」を7月から自社サイトで発売、新規需要の開拓に乗り出した。

    サプリは法律上、医薬品とは厳格に区分され予防や治療の効果はうたえない。

    このため、信頼獲得へ自社で臨床試験を行う企業もあり、キリンホールディングスは独自の「プラズマ乳酸菌」の研究を国内外の専門機関などと実施。この乳酸菌を使ったサプリなどの「iMUSE(イミューズ)」シリーズは昨年、機能性表示食品となった。同シリーズはコロナ禍の免疫力向上のニーズも捉え、今年の販売額が10月まで前年比約2倍の伸びと好調だ。

    富士経済は「健康や予防に対する需要は今後も続きそう」と一段の市場拡大を予想している。

    (加藤園子)


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