全国の有名ラーメン店の味をそのまま楽しめる国内最大級のラーメン通販サイト「宅麺.com」が14日、サイト内の人気商品を表彰する「お取り寄せラーメン オブ・ザ・イヤー2021」の授賞式を東京都港区で開いた。宅麺.comが取り扱うのは、総合大賞に選ばれた「雷 北松戸本店」の「雷そば」など、行列ができるほどの人気店のラーメンばかり。新型コロナウイルス禍の中での巣ごもり需要を取り込み、サイト全体の年間総販売数はコロナ前の4倍近くに迫る勢いだ。また、食べ応えの確かさで男性客に人気の「二郎系」と呼ばれるラーメンが、「実は食べてみたかった」という女性客から意外な人気を獲得するなど、宅配ラーメンならではの需要の広がりも見せている。
コロナ禍を機に激変した市場
厳選された人気店のラーメンを取り扱う宅麺.comは2010年に「行列ができる名店の味を自宅で食べられるようにしたい」という思いから創業された。
実際に店舗で提供されているスープと麺、具材を冷凍して販売するため、購入者は送られてきた商品を説明通りに調理するだけで手軽に名店の逸品を味わえるのが特徴。コロナ禍による「家食」(うちしょく)需要の高まりとともに注目を集め、会員数は昨年3月から今年3月までの1年で倍増。12月現在で33万人に達している。19年時点で約19万6000食だった年間の販売数も20年には3倍近い約55万食となり、今年は74万食に達する見込みだという。
サイトを運営するグルメイノベーション(東京都渋谷区)の野間口兼一・取締役営業部長によると、コロナ禍を機に有名店からの出店オファーも増え、「これまでの10倍以上の問い合せを受けるようになった」という。しかし創業当時の理念を貫いて「行列ができるほどの人気店」にこだわり、12月現在は選りすぐりの178店が名を連ねる。
現在は各店舗で冷凍加工した商品を静岡県にある物流拠点で集約・販売を行っている。しかし店内での冷凍作業ができない店舗もあるため、来年以降は店舗とライセンス契約を交わし、提供されたレシピに基づいて同じ味と品質のラーメンを調理する「宅麺クラウドキッチン」という仕組みを稼働させるという。